資産運用の王道といえば不動産です。前回、毎月のローン返済額を家賃収入が上回り続けること、売却価格より少ないローン残高にしていくことが、安心してローンを返済するポイントだと聞きました。
「お金の教養」を身につけることを目指した総合マネースクール、ファイナンシャルアカデミーで不動産授業を担当する束田光陽先生に、不動産投資のリスクを減少させる方法について聞きました。聞き手は編集部サイトウ。
物件を買うときに、3000万円だとします。頭金が300万円として、2700万円を借り入れます。まず考えなきゃいけないのは、2700万円は自分のお金を払っているわけじゃないですよね。自分のお金を出した300万については短期間で回収したいと思いませんか?
3000万円の価格に対し、家賃収入が10%入るとします。年間300万円ですね。家賃とローン返済を2分の1にできると、銀行への返済額が150万円になります。差し引きの手取りは、150万円です。150万円すべてが自分のものになるわけじゃなくて、管理費や税金を払わなければいけないので、その半分75万円が手取り収入だとします。
では最初に出した300万円を、毎年75万円で取り戻すには何年かかるでしょう?
サイトウ: 4年ですね!
そうです。ローン返済は30年でも、投資を開始して4年経てば最初の300万円は回収が終わって、その後は利益がでていることになります。いったんここでセーフです。
でも2700万円借金があるじゃないか? これを30年かけて返し終わるまでは何があるか分からないぞ、という人もいると思うんです。そこについては、2700万円のローンに対し、この物件を売った時にいくらになるかという売却価格を考えることになります。
売却価格は本当にいろんな考え方があるんですが、どんなに下がっても2000万円では売れると仮定しましょう。いろんな根拠があって、金利の相場がどうだとか、土地の評価が2000万円だとかあるんですが、とりあえず2000万円だと仮定しましょう。
すると、2700万円の借金は30年ローンなので、30年払えばゼロになるわけです。次第に借金の額が減っていくわけです。何年経過すれば、最低売却価格の2000万円を下回るんだろうか、という年数を計算すればいいわけです。
理論上、2700万円が2000万円まで経るということはざっくり7割くらいまで減ればいいわけです。30年のうち3割経過すれば、ローンの残額は7割まで減っているはずですね。ということは、だいたい9年経過すれば、ローン残額が2000万円を下回っているわけだから、安全圏です。
第一関門については4年でクリアし、第二関門については9年でクリアできるわけです。4年経ったところでリスクは半分、9年経てばリスクはゼロになるといえます。投資は長期なんだけれど、自分が負うリスクはできるだけ短期間で終わっている状態にするのが不動産の重要なポイントです。
サイトウ: なるほど、こうすれば4年、9年でリスクをゼロ近くにもっていけるわけですね。ローンを全部払い終えなくても、リスクは小さくなっていると。でも、4年にしても9年にしても長いですね。
そうです。だからこそ考えなくてはならないことがあるんです。
サイトウ: よく、不動産はいま高いから、東京オリンピックが終わってから……という話を聞きます。価格が下がるまで待ったほうがいいのでしょうか?
時期のことを考えると、不動産投資はやるなら早ければ早いほどよくて、さっさと始めることです。気がつけば4年たって、気がつけば9年経っているので、リスク償却済みの物件が手元に増えていくわけです。
逆に「いつ投資しようか?」「東京オリンピック終わるまでは不動産が高いから待とうか」といって後にすればするほど、このタイムカウントが始まらない、先延ばしになってしまう。10年20年経って、よし始めるぞ! というときには、ひょっとしたら日本は少子高齢化、人口減少が進んでダメになっているかもしれない。そうなってから始めても手遅れかもしれない。仕組みを理解したうえで、さっさと始めたほうが安全なのかと思います。
ファイナンシャルアカデミー認定講師。受講生による講義の満足度評価が5点満点中平均4.9点というナンバーワン講師。大手企業でサラリーマン生活を送るも将来に不安を感じ26歳で不動産投資を開始。現在までに通算25件の物件を購入し、総資産は5億円、年間家賃収入は4000万円。自身の豊富な経験に加え、1万人以上の生徒を教えた経験をもとにした講義は抜群の説得力。落語好きで「束田講師の落語のような話を聞くために通っている」という受講生もいるほど。担当講義は不動産投資スクールのほか、中上級者向けフィールドワークゼミなど。(ファイナンシャルアカデミー 不動産投資スクール)
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