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LINE追う「+メッセージ」、企業との連携に活路 来店予約・金融手続きなど対応へ(2/2 ページ)

» 2019年04月23日 19時41分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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売りは“安全性”

photo 金融機関とやりとりするデモの様子

 安全性を強みとした法人向けサービスを強化することでLINEとの差別化を図る狙いがあるとみられ、KDDIの東海林崇取締役執行役員は「キャリアはユーザーと契約する際、ご本人の確認書類を確認した上で電話番号をお渡している。そのため、銀行などからの大切なお知らせを個人の電話番号宛に安全に届けられる他、予約のリマインドなどにも気づいてもらいやすい」と自信を見せる。

 ソフトバンクの丹波廣寅本部長(テクノロジーユニット モバイル技術統括 IoT技術企画本部)も「LINEと比べて根本的に違うのは、携帯電話番号に基づいてメッセージをやりとりできる点だ。番号を認証・許諾した上で個人と企業がつながり、会話や金融機関の手続きや個人情報に関わることは(LINEは)できなかった」と違いを強調する。

 金融5社との連携においては、トッパン・フォームズが提供するプラットフォームを活用。住所の変更、口座振替の申し込み、災害時の安否情報の伝達などを一括で実施できる機能を、早ければ年内、遅くとも20年3月までに実装する。

「+メッセージ」で面倒な手続きがラクに

 従来は、引っ越しや転勤で住所が変わった人は、契約する金融機関に1社ずつ連絡して手続きする必要があった。口座振替を依頼する場合などは、書面を作成して郵送でやりとりする必要もあった。

 こうした負担を+メッセージで解消する狙いで、ユーザーと金融機関がメッセージを交換するだけで手続きできる他、住所変更などを1社に伝えるだけで、加盟する各社に情報が共有され、他社への連絡が不要になるなどのメリットを想定する。

 会見には、この取り組みに参加する企業の上層部も登壇。「煩わしい手続きを、業界の垣根を超えて解決する」(ジェーシービー イノベーション統括部長の久保寺晋也氏)、「業界の垣根を超えた共通のプラットフォームを取り入れ、手続きを一括で完了できることは、お客さまの利便性向上につながる」(日本生命の朝日智司取締役常務執行役員)――などと期待を語った。

 キャリアは今後、5社だけでなく金融業界全体に広く加盟を募っていく方針だ。

MVNOと楽天への対応は

 機能を大幅に強化した+メッセージだが、MVNO(仮想移動体通信事業者)やキャリアのサブブランド、そして今秋に携帯業界への参入を予定する楽天に提供する予定はあるのだろうか。

 会見では報道陣から、この点に関する質問が飛んだ。それに対し、NTTドコモの森健一取締役常務執行役員は「現時点ではキャリアのみで提供し、サブブランドやMVNOには提供していない。楽天に関しても、決まったものは何もない」と述べた。

 KDDIの東海林専務は「いくつかのMVNOから要望はある。増えることはいいことなので検討したい。楽天からもご要望があれば検討する」と回答。ソフトバンクの丹波本部長は「排他的になるのではなく、広く使ってもらいたい。要望があれば検討する。楽天についても、先方から申し入れがあった時に検討する」とした。

photo NTTドコモの森常務(=左)、KDDIの東海林専務(=中央)、ソフトバンクの丹波本部長(=右)

 個人間のコミュニケーション手段としては、LINEのように爆発的な普及は見せていない+メッセージ。「携帯電話番号に基づいた安全な情報共有」をテーマに法人との連携を進め、顧客とのコミュニケーションツールとして活路を見いだし、市場で独自のポジションを築くことができるか。

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