その点で注目したいのが、ヤフーが発表したサービス「Yahoo!スコア」をめぐる騒動です。スコア作成に関わる設定がデフォルトで「オン」になっていたため、ネットでは「設定をオフにしないと、自分の情報が勝手に外部企業に提供される」といううわさが広がりました。
このサービスはYahoo! JAPANの各種サービスの利用実績を基に、ユーザーの信用度をヤフーが算出するというもの。算出方法は非公開で、スコアそのものを利用者がチェックすることもできません。
同社は、ユーザーの同意なしに個人情報や信用スコアを外部に提供することはないと説明しています。最近立ち上げられたYahoo!スコアの解説ページには、説明不足であった旨のおわびも掲載されました。
例えばこうした騒動があったときに「もうYahoo! JAPANのサービスは使わない」という選択をする人もいるでしょう。しかし、これがメールサービスやケーブルテレビ、プロバイダなどの場合、そう簡単には切り替えられませんし、サービスの利用を停止することも難しいでしょう。
そうなると、私たち利用者が意識すべきは「信用できるかどうかを判断するための情報を、いかに効率よく集めるか」になります。サービス提供者側には、正しい情報を適切に発信する姿勢が求められます。SNS時代において、企業の公式アカウントは単に親近感を醸成するだけでなく、信用に足る情報を発信していかなければなりません。企業が公式サイトやSNS、FAQなどで公開している情報は、利用者にとって唯一に近い情報源でもあるからです。
利用者側は普段から企業の動向を注視し、ときにはYahoo!スコア騒動のように「疑問に思ったことに対して声を上げる」のもいいでしょう。それでもダメなら他のサービスに切り替えるのも手です。
Googleは社是として「邪悪にならない」(Don't be Evil)を掲げていますが、IT業界の全ての企業がこのような自分たちなりの方針を示してほしいと思います。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。
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