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» 2019年06月27日 11時43分 公開

デジタルネイティブのためのフォントとデザイン:空へ誘う旅はフォントがいっぱい (1/6)

電車の次は空。空港はどんなフォントとデザインで彩られているのか。

[菊池美範,ITmedia]

 私はいま羽田空港国内線第2旅客ターミナルにあるアッパーデッキトウキョウで、サバサンドをかじりながらトルコアイス紅茶を飲みつつこの原稿を書いている。今回のフォントとデザインの旅は空港をテーマに取り上げてみたい。

連載:デジタルネイティブのためのフォントとデザイン

スマートフォンやSNSの普及で、誰もが気軽に情報を発信できるようになった今、「どう発信するか」を考える上で、欠かせないのがフォントやデザインです。「最近ここのフォント変わったな」「このロゴどうやってデザインしたんだろう」と、身近な文字が気になっている人も多いのではないでしょうか。

この連載では、街角やビジネスの現場など身のまわりにある文字をきっかけに、奥深いフォントとデザインの世界をご案内します。いつも使っているスマートフォンやデジタルカメラを片手に、ひとときの「フォントの旅」を楽しんでみませんか。

菊池美範(きくち よしのり)

1980年代末からパーソナルコンピュータをデザインワークに取り入れ、1990年代〜現在までグラフィック、エディトリアルデザインの分野でフォントの適切な使い方にこだわったデザインワークを続ける。「ITmedia NEWS」のロゴの「ITmedia」部分のデザインも担当している。

 空港から搭乗までの道のりは忙しいものだ。とくに出張で各地を飛び回る方々にとっては、空港施設内のフォントやデザインをじっくり眺める余裕はないだろうし、個人旅行でも、おみやげを急いで買ったり乗り換えの時間が迫っていたら、ターミナルビルの通路を走り回っているかもしれない。そんな空港での案内サインにあるフォントやピクトグラムを探検してみよう。

 筆者はこの4月末に羽田空港のターミナル内を撮影しながら歩きまわったが、原稿を書くにはいまひとつリアリティに欠けたままだった。そんな折に熊本への出張があり、6月中旬から下旬にかけて羽田空港〜熊本空港を往復した。このことで利用する当事者としての視点も加えることができた。

時代によって変化する交通インフラのフォントとデザイン

 現在の羽田空港は国内線第1ターミナルと第2ターミナル、それに少し離れた場所にある国際線ターミナルを加えて合計3つのターミナルビルを抱える重要拠点空港だ。さらに、東京オリンピック・パラリンピック2020に向けて拡張と改修が続いている。羽田空港をよく利用される方はもうお気づきかもしれないが、1990年代に施設の原型が整った国内線ターミナルと、2010年代から運用を開始した国際線ターミナルの施設とでは、空港施設内のフォントとデザインに対する考え方が異なっている。まずは国内線ターミナルのフォントとデザインをチェックしよう。

羽田空港国内線ターミナルのフォントとデザイン

 国内線ターミナルを訪れるときはいつも、広くてにぎやかな場所だなあと感じる。空港施設内の動線がとても長いこと、レストランやショップなどの施設がびっしりと並んでいること、搭乗ゲートやチェックインカウンターが多いこと、この3点が理由だろう。出発ロビーに向かって歩くと、フライトスケジュールのスクリーンやゲート案内、イベントスペースの情報などにいつも圧倒されそうになる。

 国内線ターミナルの案内サインにあるピクトグラムは、現在よく目にするシンプルなものではなく、具象的で細部を描き込んだシルエットになっている。このせいか時代を追ってデザインが変化してきた商業施設の変化に対して、視覚的な誘引力が弱まってきている印象がある。後述する国際線ターミナルと比べて、サインシステムの目立ち方が弱いと感じるのは、この点も影響しているのではないだろうか。

photo 第2ターミナルビルのエスカレーター1階から。日本語、英語、中国語簡体字、韓国語ハングルの4カ国語表示となっており、表示するフォントとサインはブラック(もしくはブラックに近い濃色)を背景にしたホワイトの表示だ。ピクトグラムが写実的なのがわかる
photo 2階の出発ロビーにあるエレベータへの案内サイン。エレベーターはシニアの方々が利用されることが多いと想定しているのか、ピクトグラムもシニアのご夫婦を絵柄に用いている
photo ターミナルビル内にある第1ターミナル、第2ターミナル、国際線ターミナルの3カ所のフライトスケジュールを表示しているスクリーン。羽田空港は3ターミナル間の移動距離が長いので、万一出発ターミナルをまちがえてしまった場合には、こういった統合的なスケジュール表示が必要となる。国内線と国際線でカラー表示のルールを変えていることもわかる
photo 出発ロビー前にある保安検査場の混雑状況を示すスクリーン。第2ターミナルではAからDまでの保安検査場をブルー、オレンジ、グリーン、レッドの4色に分けており、保安検査場通過の締め切り時間が迫っている時は、どこに向かえばもっとも早いかの判断を助ける情報となる。フォントとカラーの扱いをシンプルなデザインでわかりやすく表示した好例だ
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