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空へ誘う旅はフォントがいっぱいデジタルネイティブのためのフォントとデザイン(6/6 ページ)

» 2019年06月27日 11時43分 公開
[菊池美範ITmedia]
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ユニバーサルデザインの玄関口でもある空港

 最後にユニバーサルデザインという点でもうひとつ。実はこの原稿を書いている前日、熊本出張の帰りに機内でMacBookを開いてWi-Fiを使ったあとカバンにしまわず、座席前のシートバックポケットに入れたまま眠りこけて、そのまま機内から降りてしまった。幸いなことに帰宅してすぐに気がつき、機内忘れ物センターにすぐ連絡をして保管をお願いしたことで翌日の朝には無事に引き取ることができた。受け取り場所は保安検査場Bのすぐ横にある「SPECIAL ASSISTANCE お手伝いが必要なお客様」というサポート施設。機内忘れ物の受付窓口でもあるのだが、空港職員さんの親切なご案内と迅速な対応は見事だった。

 忘れ物をした私だけに限らず、お身体の不自由な方や、チケットの紛失で困っている方など、この特大表示ともいえるフォントの扱いはとてもありがたいものだった。かなり遠距離でもこの文字は認知することができるし、忘れ物をしてしまった。どうしよう!という動揺した心を落ち着かせるデザインである。フォントの扱いやデザインには「人の心を安心させる」という意味と役目もあるのだ。

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photo このシートのポケットにMacBookを入れたまま降りてしまったのだ。どうやら「安全のしおり」に使われているパンフレットのフォントをチェックしていて、そのままポケットに入れたことを忘れてしまったらしい。ちなみに収納式スクリーンのビデオガイドで案内されている字幕のフォントは斜体がかけられているが、この場合は効果的で読みやすかった
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photo 機内に忘れてきたMacBookは「SPECIAL ASSISTANCE」と壁面に表示されたこの施設に預けられていた。電話での受付は終了しておりWebでの申告だったため、正直なところ少し不安であった。すでに警察の遺失物係にまわってしまったのではないか、もしくは万一盗まれてしまったらどうしようという気持ちがあった。この施設は遠くからでも文字が大きくはっきりと認識できるので、空港で手助けを必要とされる方や、忘れ物や紛失で意気消沈している方が、安心できるデザインになっていることを身をもって実感した。このフォントはAdobeが提供しているMyriad Light。遠距離からでも低解像度のディスプレイでも読みやすい

 ということで無事MacBookを受け取ったあと、遅れていた原稿を書くべく冒頭の記述となった。

 次回は夏休みシーズン。この季節にふさわしい内容でまたお目にかかりましょう。みなさまも良い空の旅を。

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