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NTTドコモ、19年度第1四半期は減収減益 値下げプランや「d払い」20%還元など影響

» 2019年07月26日 20時31分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 NTTドコモが7月26日に発表した2020年3月期第1四半期(19年4〜6月)の連結決算は、売上高が前年同期比1.5%減の1兆1593億円、営業利益が10.1%減の2787億円、純利益が11.9%減の1923億円と減収減益だった。携帯電話の月額料金を最大4割値下げした新プラン「ギガホ・ギガライト」を6月にリリースしたことや、モバイル決済サービス「d払い」を利用した顧客に対し、購入額の最大20%相当の「dポイント」を付与する施策を4〜5月に実施したことが響いた。

photo NTTドコモの2020年3月期第1四半期(19年4〜6月)の連結決算

契約数は増加も、新プランの申し込み数は想定より下

 主力の通信事業では、携帯電話の契約数が3%増の7890万契約に増加。解約率は0.01ポイント減の0.45%となった。光回線「ドコモ光」の契約数も、他社からの乗り換えが加速したことにより、18%増の599万回線に伸びた。

 第1四半期終了時点でのギガホ・ギガライトへの契約申し込み(第2四半期以降に契約が始まる場合も含む)は約275万件。うち約85%が、家族内のドコモユーザー数に応じて月額料金を割り引く「みんなドコモ割」を適用したという。

photo ギガホ・ギガライトへの契約申し込み件数(7月時点)

 だが吉澤和弘社長によると、この結果は「想定よりやや少ない」。新プランは端末代と通信料金を切り分けた“分離プラン”であり、特定の端末を購入した場合に通信料金を割り引く「月々サポート」(新規申し込み受付は終了済み)と旧プランを組み合わせた方が安くなる場合があるためだ。

 今後は、月々サポートの契約期間が終了した顧客のギガホ・ギガライトへの移行が加速する見込みで、「ドコモショップでの料金相談などに注力して乗り換えを加速させる。1年後までに1700万人が新プランに申し込むと予測している」(吉澤社長)という。

「還元策はタイミングをよく考えながらやりたい」

 金融事業では「dポイント」の普及が進み、15%増となる469億ポイントが利用された。同ポイントの提携先は1.7倍の476社に増えた。「dカード」の契約数は5%増の2018万契約に伸びた。今後はモバイル決済サービス「d払い」をさらに強化する方針で、9月にチャージや送金などの機能に対応する予定だ。

 現在は、ソフトバンク系の「PayPay」、LINEの「LINE Pay」、メルカリの「メルぺイ」など、モバイル決済サービスが乱立。ユーザー獲得に向け、各社が大規模な還元キャンペーンを相次いで展開している。ドコモは競合に対抗して還元策を打ったことが減益につながった他、LINEメルカリの業績にも還元策の負担が影響している。

 この状況について吉澤社長は「(ドコモも)積極的にd払いを広げたいが、キャンペーン費用がふくらむため、恒常的にやるのは大変だ。還元策はタイミングをよく考えながらやりたい。コード決済だけでなく、dカードや(電子マネーの)『iD』も含め、全体的に決済事業を伸ばしたい」と語った。

楽天のMVNO事業巡って協議する可能性も

photo NTTドコモの吉澤和弘社長

 20年3月期通期の連結業績予想は、売上高は4兆5800億円(5.4%減)、営業利益は8300億円(18.1%減)、最終利益は5750億円(13.4%減)のまま据え置く。総務省は6月、携帯キャリアに向け、契約解除金の上限を1000円、端末代金の値引き額の上限を2万円に抑える省令案を示したが、これが適用された場合の影響は織り込んでいないという。

 10月には楽天の携帯事業参入も控えるが、現時点ではこの影響も不透明なため、業績予想には反映していない。

 ただ吉澤社長は、ドコモと楽天の関係性について言及し、「現在は楽天のMVNO事業にドコモの回線を貸しているが、楽天がMNO事業を始めた後もMVNOを続けるのであれば、それは(あるべき姿とは)違うのではないか。楽天はおそらく時期を区切り、MNOに一本化するはずだ。はっきりとは申し上げられないが、楽天がMNO事業を始めた時点で(回線提供の中止について)協議を行う可能性はある」と説明した。

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