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» 2019年08月01日 07時00分 公開

ロサンゼルスで記者が見た「新たな交通手段」 死者が出ても止まらない“ブーム” (1/2)

ロサンゼルスで新たな交通手段となっている「電動シェアスクーター」の利用状況を見てきた。

[井上輝一,ITmedia]

 時速30キロ。この速度をどう感じるだろうか。自動車なら徐行より少し速いくらいか。しかし生身ならどうだろう。ヘルメットも肘・ひざサポーターもなかったら? そんな生身でも簡単に時速30キロを出せてしまう乗り物が、米国でブームになっているようだ。


LAの交通と治安

 先日、記者は米Nianticと米WB Gamesが共同開発するスマートフォンゲーム「ハリー・ポッター:魔法同盟」の米国での発表会を取材するため、カリフォルニア州ロサンゼルスへ飛んでいた。

ロサンゼルス中心街

 米国本土へ行くのはこれが初めてで、現地での勝手は何も分からない。交通手段を事前に調べたところ、「電車は治安が良いとはいえないから、Uberなどのスマートフォンから配車できるタクシーを使え」という情報がいくつかヒットした。一方で、特に治安が悪いのは「スキッド・ロウ」など特定の地域だから、それらを避けつつ昼間に行動すれば問題ないとも書かれていた。

 結果から言えば、Uber、電車、徒歩移動のいずれも試してみて問題はなかった。

 Uberは、迎えに来たタクシーの運転手が「What's your name?」と聞いてくるので「I'm Keach!」と答えれば「OK, come on!」と乗せてくれる。後は目的地で降ろしてもらうだけなので楽だった。支払いは事前にアプリに登録したクレジットカードで行う。7キロほど走って約18ドル(17ドル+チップ1ドル)支払った。

UberUber 空港にはアプリ配車タクシー専用乗り場がある。Uber運転手のカーナビはUber専用アプリだ

 電車はサンタ・モニカの海岸からロサンゼルス中心街、中心街からユニバーサル・シティへ行くために乗った。電車で1時間ちょっとの道のりで、さすがにタクシーでは料金が掛かり過ぎる。

サンタ・モニカからユニバーサル・シティ(ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド)までの道のり

 「TAPカード」というSuicaのような非接触のプリペイドカードを2ドルで購入し、1.75ドルチャージすれば片道分の料金になる。タクシーに比べれば圧倒的に安い。地上を走る電車は観光客が多く乗車するなど牧歌的な雰囲気だったが、寝ている人はいなかった。地下鉄にはあまり人が乗っておらず、車内に落書きが見えるなど、地上より少しピリっとした緊張感があった。

ロサンゼルス中心からハリウッドやユニバーサル・シティまでをつなぐ地下鉄の車内

 特段ヤバい人を見かけたわけではないので、緊張感というのは記者の思い込みもあるとは思うが、安心感だけでいえばタクシーが勝ると感じた。しかし、コストを考えれば夜以外の時間帯に電車を使うのも全然アリだと思う。もちろん、スリや不審者には注意した上で。

歩いて気付いた「新たな交通手段」

 さて、ロサンゼルスの路線図を俯瞰(ふかん)してみると、中心街から放射線状に各方向へ路線が伸びていることが分かる。山手線のような環状の路線はない。中心街を経由せずに周辺の街から街へ移動しようとした場合、電車以外の交通手段を使わざるを得ない。

ロサンゼルスの路線図

 記者はロサンゼルス国際空港から、比較的近い場所にあった米Amazonの有人店舗「Amazon Books」へタクシーへ向かったのだが、ここは空港とサンタ・モニカの間で電車もなければタクシーもいない。現地の人たちはクルマで来る場所なのだから当然ではある。

Amazon BooksAmazon Books 米Amazonの有人店舗「Amazon Books」(店内撮影許可あり)
Amazon BooksAmazon Books 店舗で商品を受け取ったり返したりできる。商品のバーコードを店頭端末にかざすとレビューをチェックできる

 Amazon Booksがあるのはベニス・ビーチ近くの海岸沿い。ベニス・ビーチからサンタ・モニカの間(約5キロ)に危険な地域はなさそうだったため、歩いてサンタ・モニカを目指すことにした。

 歩いている内に、道端に電動自転車や電動スクーターがあちこちに停められていることに気が付いた。特に電動スクーターが多い。「だいぶ無防備に停めているな、盗まれないのだろうか」と思いながら進んでいくと、ベニス・ビーチやサンタ・モニカなど人が集まる場所へ近づくほどに路上駐輪の数が増えていった。

 どうやら、これらは個人所有の電動スクーターではなく、会社が提供している電動シェアスクーターらしい。よく見れば、「JUMP」「Bird」「Lime」といった企業・サービス名が機体に印刷されており、スマートフォンでアクティベーションする機構も搭載されている。

 クルマがない観光客の多くは、電動シェアスクーターで短距離を移動しているようだった。

 ロサンゼルスを走る電動シェアスクーター・電動自転車はサービスエリア内であれば乗り捨て可能のようだ。アプリ内マップから近くのステーションか、乗り捨てられた機体を探し、そこまで歩いてアクティベーションする。好きな場所まで乗ったらそこに置いていっていい。バッテリーが切れそうな機体はバッテリー交換チームが交換しにいく。ときに回収車が回って乗り捨て機体を積み込み、ステーションに戻す──というサイクルのようだ。

JUMPのロサンゼルスサービスエリアと、7月31日時点のサンタ・モニカ周辺の配置状況(公式サイトより)

水没、ドミノ倒し

 特に観光地周辺には電動シェアスクーターがあふれ、多くの観光客が利用しているのを見たが、一方で街の景観を損ねていると感じる場面にも出くわした。

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