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リクナビの「内定辞退予測」廃止 プライバシーポリシーに不備、約8000人の学生から同意得ず

» 2019年08月05日 20時25分 公開
[ITmedia]

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは8月5日、就活生が内定を辞退する可能性を予測し、企業に提供するサービス「リクナビDMPフォロー」を廃止すると発表した。1日時点では「学生がリクナビに登録する際に、プライバシーポリシー上で同意を得ていた」と説明していたが、その後の調査で、7893人の学生から同意を得ていなかったことが判明したため。同社は現在、データを提供した企業に対し、破棄するよう順次依頼しているという。

photo リクナビの公式サイトより

「学生から十分な同意を得ていない」など批判続出

 リクナビDMPフォローは、前年度に応募した学生がリクナビ上で取った行動ログを解析した上で、今年度の応募者の行動ログと照合し、内定を辞退する可能性を算出するサービス。2019年3月に開始し、7月末までに38社に分析結果を提供した。

 学生には「行動データを企業に提供する場合がある」とプライバシーポリシー上で説明し、リクナビ登録時に同意を得ていたというが、個人情報保護委員会などから「同意を得る仕組みが分かりにくい」との指摘が出ていたという。7月31日の時点でサービスを一時休止していた。

 こうした内容は、8月1日付の日本経済新聞が報道。ネットを中心に、倫理的な観点から多くの批判を集めていた。

「7893人の学生から適切な同意を得られていなかった」

 リクルートキャリアは報道を受け、当初は「『分析結果を合否判定に活用しない』と合意した企業にのみデータを提供していた」と反論。「内定辞退の可能性を提示することで、企業は適切なフォローを行うことができる」と主張していた。

 しかし8月2日に、同社がリクナビ上に複数設けている全てのプライバシーポリシーを調査した結果、一部の記述に漏れがあることが判明。リクナビDMPフォローを始めた際に全ての文面を修正し、「行動データを企業に提供する場合がある」などと追記したはずだったが、一部への反映が漏れていたという。

 同社の調べによると、不完全なプライバシーポリシーに同意したことで、行動パターンの分析対象になった学生は7893人に上る。同社は3日に文面をいったん修正したものの、事態の重大さを考慮してサービスの廃止に踏み切ったとしている。

 同社は「学生の皆さまからの『不安』『怖い』『裏切られた』という言葉に触れることで、皆さまの心情に対する当社の認識欠如こそが、根本的な課題であると認識した」とコメント。今後は「リクナビなど(自社の)新卒学生向けサービスの在り方を、抜本的に変えていく」としている。

photo リクルートキャリアのニュースリリースより

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