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» 2019年08月07日 05時00分 公開

「わざと負けようとしても無理」と話題 プロも挑戦する“世界最弱のオセロAI”、生みの親に聞く開発の裏話 (2/2)

[濱口翔太郎,ITmedia]
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全日本チャンピオンも負けられず

 一般公開後は、その弱さからプロのオセロプレイヤーの間でも話題となり、海外などからも挑戦者が相次いでいる。AIが勝った回数は約3000回だが、これらは「かなり研究した有段者によるものでしょう」と吉田CTOはみている。

 「私の友人にオセロの全日本チャンピオンがいるのですが、最弱オセロは彼でも10回やって1回引き分けるのがやっと。あと9回は勝っているので、負けているのはオセロ界でもトップクラスの人のはずです」

 強者たちの挑戦を退けるべく、吉田CTOは現在、AIの強化学習を再開。AI同士による対戦を復活しているため、「またどんどん弱くなっています。サーバ側の処理能力に限界はありますが、本当の意味での最弱に限りなく近づいています」という。

ALTALT 現在も強化学習を継続しており、まだまだ弱くなっているという

AIに興味を持つきっかけになればうれしい

 「もし資金に余裕があれば、スパコンなどを使って、判断の速度をもっと上げたいですね」と笑う吉田CTO。夢は尽きないが、最弱オセロはあくまで“遊び”の一環で開発したもの。有料化してビジネスにつなげたり、機能強化のために投資したりする予定はないという。

 「本当に遊びのつもりだったので、今後は堅実に本業をやっていきますよ。でも、AlphaGoと対局できた人は一握りですが、最弱オセロでは、多くの人に強化学習を使って構築した最新のAIと対局する機会を提供できました。反響の大きさは想定外でしたが、やってよかったと思っています」と吉田CTOは話す。

 「AIには『人間の仕事を奪う』といった負のイメージもありますが、最弱オセロに触れた人には『AIはいろんなことができそうだな』『使い道次第では人間の役に立ちそうだな』と思ってもらったり、AIに興味を持ってもらったりすればうれしいです。会社としてはやりませんが、時間があれば個人的に新しい仕掛けをつくるので、楽しみにしていてください」

photo AVILENの高橋香輝取締役(=左)と肩を組む吉田拓真CTO
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