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400万ユーザー突破のメルペイ、次の成長のカギは「連携強化」

» 2019年09月19日 07時00分 公開
[谷井将人ITmedia]

 「さまざまなモバイル決済サービスがある中で、メルペイ独自の価値はメルカリとの連携にある」──メルペイの青柳直樹社長は9月18日、同社の決済サービス「メルペイ」の今後の成長戦略を発表した。メルカリというバックグラウンドを持つメルペイの強みを生かし、メルペイで買った商品をメルカリでより売りやすくするなど、自社サービスや他社と連携しながら新サービスを展開していく。

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 同社は都内で開いた年次カンファレンス「MERPAY CONFERENCE 2019_SEP.」で、「メルペイあと払い」サービスの分割支払い対応や、メルカリと連携した出品支援などの新サービスを発表。外部企業とも連携しながら2020年をめどに各種サービスを始める計画だ。コード決済の普及に向けたアライアンスに新たにKDDIが参加するなど、決済事業者間の連携強化も発表した。

利用者数は400万人超 20年中に1000万人へ

 メルペイは19年2月に提供スタート。コード決済や“ツケ払い”機能などを追加しながらサービスを展開し、9月にはユーザー数が400万人を突破した。今後は19年内に600万ユーザー、20年には1000万ユーザーまで成長させる計画だ。

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 メルペイ決済に対応する加盟店は全国に約170万店舗(19年9月現在)で、19年内に200万店舗まで増やす予定。最近では郊外や地方での加盟店獲得を強化しているという。

 青柳社長によると、メルペイのユーザー拡大はフリマアプリ「メルカリ」への送客にもつながっている。メルペイは、決済額の最大70%をポイント還元するキャンペーンなどで新規ユーザーを獲得しており、中にはそれまでメルカリを使っていなかった層も多い。メルペイの利用がきっかけとなり、新たにメルカリで売り買いを行うようになったユーザーも増えているという。

メルペイを使って買った商品をメルカリで売りやすく

 メルペイには、メルカリでの売上金をそのままメルペイ残高として買い物に使えるという特徴がある。20年初頭をめどに、メルペイを使って購入した商品をメルカリで売りやすくする新機能を提供する計画だ。

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 具体的には、ユーザーがメルペイで買った商品のデータをメルカリに自動で登録。メルカリで売る際に、購入履歴を基に必要な情報を自動で記入し、すぐに出品できるようにする。

 発表会に登場したファッションECサイト運営企業ANAP(東京都港区)の門倉清隆執行役員は、子供服の分野での需要が見込めると話す。「子どもの成長に合わせてメルカリでリユースし、また新しい服を買ってもらえるのではないか」と期待を込めた。

メルペイあと払いは分割払いに対応

 さらなる利便性向上に向けた新機能・新サービスも発表した。メルペイでの決済代金を後払いにできる「メルペイあと払い」は現在、利用額を翌月に一括で支払う必要があるが、20年初頭をめどに分割払いに対応させる。支払期間や1回の支払金額を指定し、分割して支払えるようにする。

 金利は「検討中」としつつ、繰り上げ返済などにも対応し、早く返済したユーザーに対してポイントを付与する仕組みなども検討しているという。

モバイル決済アライアンスに「au PAY」 事業者間の連携強化

 モバイル決済の利用シーンを増やすため、事業者間アライアンスの強化も発表した。メルペイとLINE Pay、NTTドコモが参加するアライアンス「Mobile Payment Alliance」(MoPA)に、新たにKDDIが参加。店舗は1つのQRコードで4社のコード決済サービス(メルペイ、LINE Pay、d払い、au PAY)に対応でき、導入負荷の軽減や新規顧客の獲得を期待できる。

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 アライアンス参加企業は今後、各社の決済サービスを一括で導入できる仕組みづくりを進める他、不正利用対策でも連携していくという。

加盟店側へのキャッシュバック施策も

 モバイル決済の普及に向けて経済産業省が推進している「キャッシュレス・消費者還元事業」に連動し、メルペイを使って決済したユーザーに決済金額の5%を還元する。

 加えて、加盟店向けに独自のポイント還元サービスも展開する。20年3月31日までにメルペイのコード決済を導入した加盟店を対象に、通常1.5%の決済手数料を0%にする他、店頭で決済された金額の5%を加盟店側に還元すると発表した。

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