とまあ準備はできたところで撮影。
カメラを取りだして撮るのだが、ボタンは1つだけ。
それも裏側にある。
で、よーく見ると裏側のボタンの周囲にちょっと傾斜がある。表側を強く押すと裏側のボタンが押されてスイッチが入るようになってるのだ。原始的だけどこれが有効だ。
このボタンだが、長押しをすると電源が入る。
で、電源オフ時にボタンを少し押すと本体が震えて「動画撮影」が始まる。長さは15秒/30秒/1分のどれかのみ。短いクリップをばしばし撮って楽しむカメラなのだ。
電源を入れた状態でボタンを押すと静止画、ダブルタップするとタイムラプス、トリプルタップするとスローモーション。
設定はアプリから変更できるが、それだけだ。
ボタンを押すと本体がバイブするのでそれでなんとなく分かってねという作り。
本体前面にLEDがあって撮影中は点滅するが、それを自分で確認しようとすると顔が写っちゃうわけで、自撮り時以外は撮影中を回りに知らせるくらいの意味だ。
動画撮影が主な機能だが、1本あたりの時間が短いのは、バッテリーが小さいことや熱の問題もあるだろうが、基本的に「短いカットをつないで1本の動画を作ろう」ってカメラだから。思いついたときにぱっと撮って気がついたら撮影が終わってるくらいの感じ。
もうちょっと細かく制御したいときはアプリ経由でBluetooth接続し、スマートフォンから操作する。
で、画期的なのは「画像をモニターしながらの撮影はできない」こと。Wi-Fiもないし。Bluetoothは撮影のコントロールをするだけでプレビューもない。外付けモニターもない。
何が映ってるかは、撮ったあとでスマートフォンに吸い上げてみないとまったく分からないのである。
この「分からない」のがミソ。最初から今日はこういう撮影するぞ、じゃなくて、撮影のことは忘れて面白いと思ったら撮りまくって、それを楽しくつないでその日やその出来事を短いビデオクリップで残そう、面白いものが作れたらシェアしようってカメラなのだ。むしろそれが潔くてすごい。
そして製品にはそういう斬新な撮影を助けてくれるアイテムがいろいろと入っている。
キモになるのは磁石。
一番すごいのは「ペンダント」。カメラの裏側に磁石が仕込まれてて、ペンダントにも磁石が仕込まれてて、強力にひっつくのだ。
で、ペンダントを服の中にいれて布ごしにつけると……服にカメラが張り付くのである。
これは面白い。着脱も簡単だし、ペンダントとカメラの間に布があるおかげで、カメラも安定する。このまま撮ればライフログが撮れる。
秋から冬になって上着を羽織ったりコートを着たりするといろいろと難儀なことになるけれども、そのときはそのときってことで。
さらに他のアイテムも付属する。
次はイージークリップ。
簡単なクリップで、ちょこんと挟むのに良い。
こんな感じとか。
三脚に付けるためのアイテムもある。
自撮り棒につけるといろんなアングルを楽しめるのでおすすめ。
どちらのアイテムも磁石でぴたっとくっつくので着脱はめちゃ簡単。シールを使って固定するためのベースも付属する。
何にしろ、本体は20グラムと軽いのでもう好きにして状態。ちょっと工夫すればアイデア次第で好きなところにつけられるわけである。
あとはどう楽しむか。
胸元につけてハイパーラプス撮影すればその日の行動が(終日ってわけにはいかないが)超高速で記録できる。
2分に1回15秒の撮影を自動的に行うインターバル撮影もできるし(あとでストーリーを作るときの素材にいい)。
で、撮影が終わったらスマートフォンにつなぐ。
すると自動的に吸い上げられる。たくさん撮っちゃうと時間がかかるのでそこは待つべし。
ただ、本体内のメモリは多くなくて、真面目に遊ぶと1〜2日でいっぱいになっちゃうので、吸い上げたら本体の方は削除しちゃう方が良い。
そして最後の仕上げは「ストーリー」。
撮ったビデオクリップや写真を組み合わせて1つの作品にする機能。
テンプレートを使い、AI任せでよろしく! って作り方もできる。
1つずつ自分で選んで編集して作ることもできる。
いずれにせよ、ひたすら短いビデオクリップをとりまくって、1クリップ当たり数秒くらいで速度を上げて大量につないでスピード感を出すと楽しい。
そして最後はエクスポートしてシェアである。
いやもうなんというか、めちゃ軽くて小さくて自由で不自由ででもこれで集めた単純な素材を一つのストーリーに仕上げてくれるという新世代のウェアラブルアクションカメラでありライフスライスカメラの登場である。
簡単にいえば、「Insta360 One」「Insta 360 One X」という全天球動画カメラの歴史を経て、その自由な動画の面白さを極限までミニマム化して誕生したのが半天球だけど機動力は抜群のInsta 360 GOだと思っていい。
荒削りなところもあるけれども、それは新しいジャンルを切り開こうとする製品の常であり、その向かおうとするところもできあがった作品の面白さも今の時代を見事に切り取ってて、ぜひこのカメラからのメッセージを感じ取ってそれを楽しんでみてほしいと思った次第である。たぶん、その人その人の日常や非日常の楽しみ方によって全然違う映像を作れて、それが面白いのだ。
いやもう毎日をストーリーにするって意味で、「insta365」でもいい気がしてきた。
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