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» 2019年10月22日 07時00分 公開

自作キーボード入門法2019 開発者が教える「初めの一歩」ハロー、自作キーボードワールド 第1回後編(2/2 ページ)

[びあっこITmedia]
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怖くない! 2019年式自作キーボード入門法

 「自作キーボードという言葉をよく見かけるし、興味はあるがまだよく分かっていない」という人もいるのではないかと思う。そこで記事後半では、大幅にハードルの下がった「2019年式自作キーボード入門法」を紹介していく。

まずは唯一のリアル店舗「遊舎工房」へ

 まず、秋葉原にアクセスできるのであれば遊舎工房に実際に訪れてみるのがおすすめだ。

 前述したように、遊舎工房では多くの組み立て済み自作キーボードや、多様なキースイッチを実際に触ってタイピング感やフィット感などを確かめられる。併設された工作スペースには工具類も完備(なんとはんだも無料)。組み立てに不安があっても店員さんに相談できるため、安心して組み立てに挑める。遊舎工房のTwitterアカウントを見てみると、1人で初めて組み立てに来た人や、初めてのはんだ付けに挑戦する親子連れなどが自作キーボードを完成させている様子が分かる。

遊舎工房に展示されている各種自作キーボード 製作難易度が色付きシールで表示されている

「天キー」「ゆるキー」などイベントも

 他にも、自作キーボードに実際に触れる機会としては、各種自作キーボードイベントが挙げられる。各々が自分の作ったキーボードを持ち寄ってお互いのキーボードを体験できる「meetup」と呼ばれる形式のイベントや、講師がついた自作キーボードキットの組み立て会などがある。代表的なmeetupには、年に2回、5月と11月に開催される「天下一キーボードわいわい会」こと通称「天キー」や、2〜3カ月に1度のペースで開催されている「ゆるい、キーボードのミートアップ ゆるキー」、海外キーボードコミュニティ主体で不定期開催されている「Tokyo Mechanical Keyboard Meetup」などがある。

meetupイベントでは各参加者が自分のキーボードを持ち寄る 集まると壮観な光景に

 それぞれ特色のあるイベントだが、どれも持ち寄られた自慢のキーボードを体験できるという点では共通している。いろいろな人が作った自作キーボードに触れてみたいという場合には、こういったイベントに参加してみるといいだろう。

 これらのイベントは現在のところ東京でのみ開催されているが、名刺サイズの小型キーボード「meishi」など、自作キーボードの組み立てイベントは東京以外でも開催されるようになってきている。調べてみれば近くで行われていることもあるかもしれない。

 有志による組み立て会だけでなく、最近では自作PC専門店のTSUKUMOやパソコンSHOPアーク、大阪のシリコンハウスなどの量販店でも自作キーボードワークショップという形で組み立てイベントが開催されることも増えてきている。こちらも定期的にチェックしてみるといいだろう。

コミケや技術書典もタッチポイントに

 「コミックマーケット」や「技術書典」などの同人誌即売会でも、自作キーボードに触れられる場合がある。

 自作キーボードブームの特徴の一つとして同人誌文化との親和性があげられる。2016年末にコミックマーケットで頒布されたぺかそ氏の自作キーボード同人誌「BUILD YOUR OWN KEYBOARDs」を皮切りに、自作キーボードの情報は同人誌にまとめられたものが多くある。

 こういったイベントでは同人誌だけでなく、サークル参加者が作ったキーボードが展示・頒布されている場合もある。開発した本人と会話できる機会でもあるため、足を運んでみるのもいいだろう。

情報入手はブログ、ドキュメント共有サイトや動画など

 自作キーボードに関する日本語情報も、最近では充実してきている。「自作キーボード」で検索すれば多くの入門記事や解説記事、YouTube動画などが見つかる。

 中でも詳しく、多岐にわたる情報量を蓄えているWebサイトが 「Self-Made Keyboards in Japan Scrapbox」だ。これは複数人で自由に編集できるドキュメント共有サイトで、日本の自作キーボードコミュニティメンバーによって日々更新が行われている。

 自作キーボードについて分からないことがあれば、まずこのサイトを検索してみると大概の情報にはたどり着ける。

 一方で、Scrapbox内の記事はやや「分かっている人」向けに書かれている部分もあるため、入門用としては少し難解かもしれない。平易にまとまった解説を求めるなら、前述の各種同人誌がおすすめだ。

 これらのキーボード同人誌は即売会だけでなく、同人通販サイトのBoothや遊舎工房の店頭でも取り扱っているため、通販での入手もできるし、店頭で中身を確かめることもできる。

 手前味噌だが、この連載の筆者2人で配信を行っているYouTubeチャンネル「ほぼ週刊キーボードニュース」では、「基礎からわかる自キ入門講座」という動画シリーズで、自作キーボードの基礎の基礎から解説を行っている。気になる方はこちらも是非チェックしてみてほしい。

基礎からわかる!自キ入門講座 第14回「UT47.2を作ってみた!」
本連載の筆者2人が動画配信している「ほぼ週刊キーボードニュース

コミュニティに飛び込んでみるのも手

 自作キーボードの情報収集であれば、日本の自作キーボードコミュニティのSelf-Made Keyboards in Japanに参加してみるのもいいだろう。

 Discordというチャットサービス上に多くの自作キーボードファンが集っている。最新の自作キーボード情報やカスタマイズ研究、設計者同士の議論などのディープな内容から、自作キーボードにまつわる入門的な質問まで幅広く、日々情報交換がされており、日本の自作キーボード事情を把握するには最適な環境になっている。

 コミュニティというとややハードルが高く感じるかもしれないが、非常に和気あいあいとした雰囲気で、自作キーボードが急速に拡大することができた理由の一部を垣間見ることができると思う。書き込まずとも見ているだけでも、新しいキーボードやキーキャップなどのグループバイ情報などが流れてくる。興味があるなら見ていて損はないはずだ。

原動力は「道具を自ら作りたい」という欲求、そして愛着

 ここまで、自作キーボードがブームとなった理由や自作キーボードへの入門法を紹介してきた。自作キーボードブームの背景にはこういった多くの偶然の重なりや相互作用があったわけだが、やはりすべてを突き動かしている原動力は、自分の使う道具を自ら作りたいという欲求、そして自作によって生じる愛着とも言える感情ではないかと思う。

 前編冒頭でも触れたとおり、自作キーボードは万年筆にも似た、身近かつ趣味性の強い道具で、パーツの交換によるドレスアップから完全自作まで、自由度の高いカスタマイズ性を持っている。

 それらを容易に実現できるような技術革新に恵まれ、多くの人がこれらのカスタマイズを気軽に体験できる状況が整ってきた。その結果、製作、フィードバック、改善というサイクルを小さく回していける、素朴なものづくり体験としての自作キーボードが、エンジニアを中心に多くの人々に受け入れられたように筆者は感じている。

 自作キーボードの機能性については言うまでもなく、自らの創意工夫を凝らした道具を使うという行為もまた格別なもの。次回以降は、自作キーボードを作る楽しみにフォーカスしつつ、より具体的な自作キーボードの情報をお届けしていく。

前回の連載

なぜ日本で「自作キーボード」が流行り出したのか そのきっかけを振り返る

日本で自作キーボードが盛り上がった経緯や、自作キーボードの魅力、2019年版自作キーボード入門法などを前後編でまとめた。

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