米IBMはこのほど、天気予報システム「IBM GRAF」を世界中で提供すると発表した。これまで気象データを提供できていなかった地域にも、従来のシステムより細かい範囲の天気予報を高い更新頻度で提供する。
IBM GRAFは、最大12時間先の気象状況を予測できる。現在のグローバルな天気予報システムでは、6〜12時間ごとに10〜15キロ四方の範囲の天気を予測しているが、米IBMのグループ会社「The Weather Company」と米国国立大気研究センター(NCAR)が共同で開発したスーパーコンピュータを使うことで、3キロ四方単位で1時間ごとに予測できるようにした。主にCPUで予測計算を行う従来のスーパーコンピュータとは違い、GPUも活用することで、予報の更新頻度と解像度を向上させた。
日本や欧米ではすでに同程度の予報が提供されているが、自国内や近隣地域での利用にとどまっている。米IBMはIBM GRAFを気候変動による気象災害が起きやすいアジアやアフリカ、南米地域などでも提供する。1時間ごとに世界規模で詳細な天気予報を行うシステムは世界初という。
The Weather Companyのキャメロン・クレイトンCEOは、「これまで高解像度の気象データにアクセスしたことがない人々が、事前に田畑に近づく雷雨を予測できるようになれば、種まきや収穫の時期を今よりも適切に計画できるようになる」とIBM GRAFの意義を語っている。
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