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» 2019年12月04日 15時31分 公開

「日本は存在感が薄い」東大AI研究者が危機感 国際会議でも「日本人同士で閉じこもっている」

「日本は国際学会での存在感が薄い」。AI研究者の東大・杉山教授が、AIとデータ活用について考えるシンポジウムで危機感を語った。

[村上万純,ITmedia]
AIデータ活用コンソーシアム 理事・副会長の杉山将氏(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授、理化学研究所 革新知能統合研究センター センター長)

 「機械学習の国際会議は年々参加者が激増しているが、日本は論文占有率でも研究者の数でも存在感が薄い」――AIデータ活用コンソーシアムで理事・副会長を務める、東京大学の杉山将教授は、こう話す。

 AIデータ活用コンソーシアムは、企業や研究機関が効率的にデータを活用できるようなプラットフォームやコミュニティー作りを目指す団体。AIの研究やデータ活用を行う教育機関や企業らが共同で、19年3月に設立した。

 日本はAIの技術開発とビジネス活用で米国や中国に後れを取っている――というのが通説だが、杉山教授は国際会議への参加を通してそれを実感したという。11月29日に開催された「AIデータ活用シンポジウム 2019」で、同氏が日本のAI研究への危機感を語った。

「日本人研究者だけで固まっている」 国際会議で感じた危機感

 杉山教授は、「ICML」(International Conference on Machine Learning)、「NeurIPS」(Neural Information Processing)という2つの国際会議への参加を通して、危機感を抱いたという。

 ICMLの参加者は、2013年は900人だったが、毎年数百人から数千人単位で増え、19年には6200人になった。NeurIPSも同様で、13年は1200人だったが、毎年2倍近く参加者が増え、18年は8000人以上が参加した。

 しかし、杉山教授によると「日本人の参加者と論文占有率は全体の数%程度」。中国や韓国の研究者は欧米の大学や企業に所属することも多く、両会議でも活発に議論していたが、日本人の研究者たちは日本人同士で固まり、他のコミュニティーに溶け込めていなかったという。

 杉山教授は「休憩時間になっても、日本人は日本人としか話さない。一方で、海外の研究者や学生たちはコミュニティーに溶け込み、学会の運営にも関わる人も多い」と指摘する。

 国際会議をスポンサードする企業も、2000年代前半は米Googleや米IBM、米Microsoftなど米国のIT大手が多かったが、2000年代後半からは中国Tencent、中国Baiduなど中国企業が増え、2010年代からはスタートアップも増えてきたという。最近では、スポンサー企業になることすら難しいとしている。

 「スポンサー企業は、会場の近くで自社イベントを開くなどして、活発に採用活動をしている」と杉山教授。優秀な学生や研究者たちと接点を持ち、採用につなげたいと考える企業の熱量を感じていると語った。

 米中の“2強”といわれるAI業界の現状については、「技術開発はアメリカの一強。GAFAの研究所は世界中にあり、欧米では大学の研究室ごと買収されるケースも多い。ビジネス活用ではアメリカと中国が支配的だろう」と指摘。日本が米中に追い付くためには、研究者や企業関係者のマインドセットを変える必要がありそうだ。

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