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» 2019年12月27日 10時42分 公開

動画の世紀:普及する「AIカメラ」 動画はAIが見てくれる時代に (1/3)

AIの進化によって、監視カメラで判断するのは人ではなくなりつつある。

[小林啓倫,ITmedia]

 いまから12年前の2007年、ソニーのデジタルカメラ「Cyber-shot」に「スマイルシャッター」という機能が搭載されました。ご存じの方も多いと思いますが、これはカメラが捉えた映像内から人間の顔を検出し、その人物が笑ったらシャッターが切れるというもの。しかも笑顔の程度を3段階に調整でき、ちょっとしたほほえみでも撮影するか、大笑いするまで待つかを設定することができました。

高度化するAIの画像分析

 スマイルシャッターは当時大きな話題となりましたが、いまや「第3次AIブーム」の真っただ中。現在では写真の中の笑顔や猫だけでなく、ありとあらゆる物体や動作が、AIに接続したカメラによって検出できるようになりました。笑顔とは真逆の、こんなものまで把握できるサービスも始まっています。

 米フィラデルフィアに拠点を置くスタートアップ企業、ZeroEyesによる「武器検知サービス」です。防犯カメラによって撮影された映像をAIがリアルタイム分析し、人間が銃器を手にしているのを認識した場合、施設の関係者(特に学校やイベント会場などでの活用を想定しているようです)や警察官にアラートが送られるというもの。情報は随時アップデートされ、危険人物を撮影したカメラの位置がマップ上に示されるとともに、その人物の画像も記録されます。スマイルシャッターならぬ「脅威シャッター」といったところでしょうか。

photo ZeroEyesでは危険人物の情報や位置が関係者に送られる

 ZeroEyesは米国の通信会社Verizonから、5Gを利用した革新的なサービスを提供する企業の一社に選ばれ、5Gに関するさまざまな支援を受けています。5Gは次世代の通信規格で、現在主流の4Gよりも、高速・大容量の通信を大量の端末との間で行うことが可能。つまり5Gが整備されれば、より広い敷地や施設により多くの防犯カメラを設置して、いち早く危険人物を察知できるということになります。

 AIが防犯カメラ映像を分析し、犯罪者や違法行為を把握する――そう聞くと、中国政府の取り組みを思い浮かべる方も多いかもしれません。これも有名な事例になりましたが、中国にはネットワークに接続した防犯カメラのシステム「天網」が存在し、画像解析を活用した犯罪者や違法行為の摘発が行われています。そうしたカメラの数は、既に2000万台以上に達していると推定されているのですが、中国政府は2020年までにこの監視網を中国全土に広げ、実に5億7000万台の監視カメラで治安維持を行う計画であるとされています。

 米国の調査会社Allied Market Researchは、「映像監視システム」(カメラで撮影した映像を、通信ネットワークを通じて送信や保管が可能な監視システムと定義されています)の世界市場について、2018年から25年にかけて年平均成長率14.2%というスピードで拡大し、25年までに約874億ドル(約9.6兆円)に達すると予測しています。これは17年の市場規模約282億ドル(約3.1兆円)の3倍。その全てをAIが監視するとは限りませんが、撮影される映像が大量に増えれば、全てを人間が見てチェックするわけにもいかないでしょう。

photo Allied Market Researchの映像監視システム調査

 しかもAIであれば、武器を持つ不審者を、うっかり見落とすということもありません。動画はますます、人間ではなく機械が見るものになっていくと考えられます。

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