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ネットで叩かれている「Slackマナー」は本当にアホらしいのか? 良しあしを真剣に考えてみた(2/2 ページ)

» 2020年01月09日 12時38分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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筆者がSlackで「お疲れさまです」とあいさつする理由

 一方、「『お疲れさまです』などのあいさつ」に関しては、筆者も時と場合に応じてSlackで行っている。一言あいさつをするのは、複数人によるトークルームではなく、個人のトークルームで上司や同僚と話をする時だ。

 上司や同僚の様子を横目で見て、忙しそうにしているにもかかわらず、どうしてもSlackで会話する必要がある場合は、一言「お疲れさまです!」「お忙しい中すみません」などと、ワンクッション置いてから本題に入るようにしている。

 手が空いていそうな時は、あいさつは省略している。

 筆者は口頭で話し掛ける際も、相手が忙しそうな時は「今、お時間よろしいでしょうか」などと一言挟むのが、仕事仲間と円滑にやりとりする上では望ましいと考えている。Slackでのあいさつも、それと似たような感覚だ。

 上司や同僚が忙しそうな時に、あいさつ抜きでSlackを送ったところで、別に怒られはしないだろう。だが、相手の状況に気を配って一言挟んでも、得はあっても損はない。そのため、あいさつに関しては「アホらしい」とは言い切れない。

photo スチュアート・バターフィールドCEO(中央)らSlack Technologiesの経営陣

「メモ帳などで推敲」もたまにやる

 「メモ帳などで推敲(すいこう)してから貼り付ける」。筆者はこれも、Slackを使う上でたまにやっている。テキストだけでは細かなニュアンスや文脈を伝えられない場合があり、意図せずして、怒っているような印象やぶっきらぼうな印象を与えてしまうからだ。

 Slackでは、一度送った文章を後から編集できるが、編集前の文章がすぐに相手の目に止まり、気分を害するケースがある。編集の前と後で、文章のニュアンスが大きく変わっていると、場合によっては不信感につながるかもしれない。

 これらを防ぐため、筆者は長めの文章を送る際、メモ帳などでいったん内容を整理してから送る時がある。自分で自分のトークルームに文章を送ってみる場合もある(これはやりすぎかもしれないが)。

 あいさつや推敲は誰かに強制されたわけではなく、人付き合いが苦手な筆者が勝手にやっているだけだ。マナーと呼ぶほど堅苦しいものではなく、他の人に押し付けるつもりもないが、周囲に誤解を与えない効果は少なからずあるため、無駄な作業ではないと思う。

周囲への気遣いを忘れずに使いたい

 Slackは、日間アクティブユーザー数が全世界で1200万人を超えるなど人気で(19年9月末時点)利便性の高いツールだ。近年は「Google Drive」「Office 365」といった他社製のアプリとの連携も進んでおり、トークルーム内でさまざまな作業が可能になっている。

 だが、機能面での自由度が高まったからといって、失礼な使い方をしても許されるわけではない。がんじがらめなマナーで縛ったり、メールに回帰したりするのはアホらしいが、画面の向こうに生身の人間がいることを念頭に置き、周囲への気遣いを忘れずに使っていくべきではないだろうか。

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