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» 2020年01月20日 10時44分 公開

Googleさん:Cookie禁止に動くGoogleの秘策「プライバシーの砂場」とは?

Googleが2年以内にサードパーティーCookieをサポートしなくなると発表し、波紋が広がりました。これでターゲティング広告ができなくなるわけではなく、Googleはそれに変わる「プライバシーサンドボックス」を準備中です。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 GoogleがWebブラウザ「Chrome」でサードパーティーCookieのサポートを2年以内に終了するという1月14日の発表がかなり話題になりました。日経新聞の1面に載ったのにはちょっと驚きました。

 nikkei 日経新聞は1月16日の1面でばばーんと取り上げました

 サードパーティーCookieは、主にターゲティング広告表示のために使われていますが、ユーザーが気付かないうちに行動履歴を集めてしまいがちということで、2018年くらいからプライバシー問題で嫌われ者になっています。

 AppleのSafariやFirefox、先日公開されたMicrosoftの新しいChromiumベースのEdgeでは初期設定で一部がブロックされています(サードパーティーCookieについての記事は「「サードパーティーCookie」は“悪”なのか? 私がSafariを使う理由」がお勧めです)。ユーザーだけでなく、EUや米国の当局が広告目的の個人情報収集を問題視しはじめており、規制がどんどん厳しくなることを予想しての各社の動きです。

 edge 新しいMicrosoft Edgeのプライバシー設定

 Googleさんもついに、という感じですが、広告収入が総売上高の84%を占めるので、AppleやMicrosoftのようにはいきません。

 Googleの発表について、ネット上では「ターゲティング広告ができなくなって見たくもない広告になるだけ」という反応が上がっていますが、そんなことにはならないように、Googleさんは今後予想される当局の規制に抵触しないでターゲティング広告を続けられる方法を模索しています。

 Googleは「ただサードパーティーCookieをブロックするのはユーザーとWebエコシステムの双方に悪影響を及ぼす可能性がある」と言ってます。実際、例えば「はてなブログ」など、実際にログインできなくなったりちゃんと表示されないWebサイトもあります。はてなブログについては、その場合の対処方法が丁寧に説明されていますが、不便なことは確かです。

 hatena

 Googleが考えている対策は、昨年8月に発表した「プライバシーサンドボックス」です。これは、ユーザーのプライバシーを守りつつユーザーにとっても適切な広告を表示できるようにするという構想。「2年以内にサードパーティーCookieを見捨てる」と発表したのは、恐らくプライバシーサンドボックスが2年以内に実用化できそうだというめどが立ったからだと思います。

 プライバシーサンドボックスは、ざっくり言うと、広告主がユーザーの個人情報に直接アクセスせずに、ターゲティング広告を実行するためのツール集になる予定です。広告主ではなくWebブラウザが(つまりGoogleが)ユーザーの情報を保持し、広告主は、そのデータをプライバシーサンドボックス内でツールを使うことでユーザーのプライバシーを侵害することなくターゲティング広告を表示できるようになる、と。

 Chromium Projectsにプロジェクトのまとめサイトがあります。また、日本語で読めるブログもあります。今のところはまだ模索中ということですが、幾つかのAPIを使ってコンバージョンやアトリビューションなどの匿名化されたデータを取得できるとなっています。

 project プロジェクトサイト

 Googleは、広告主とChromeユーザーと協力して、プライバシーサンドボックスが業界のすべての利害関係者にとってプラスになるようにしたいと言っています。最終目標は、これをオープンWeb標準にすること。SafariやFirefoxでも採用すれば、トラッカーをブロックすることで発生する不具合も解消されるでしょう。

 W3Cもプライバシーサンドボックスの開発に協力しています。W3Cのサイトを検索すると、W3Cでのプライバシーサンドボックスについての議論の記録が幾つか出てきます。

 今のところ、本当に安全なものを作れるのかとか、Googleばっかり得をするんじゃないかとか、いろいろ懸念がありますが、2年かければ業界の合意は得られるんじゃないかな、とGoogleさんは思っているようです。

 かつては無理だと思っていたFlashの排除は、今年末にAdobeがサポートを終了することでほぼ実現する見込みです。故スティーブ・ジョブズさんが「iPhoneではFlashサポートしないよ」と言ってから12年かかりましたが、実現します。

 Flashが終了できるのは、Googleを含む業界全体がHTML5などでのオープンな代替規格を推進してきたから。

 Googleさんが自社の利益だけを考えたりせずにみんなと協力していけば、プライバシーサンドボックスでもFlashと同じことができるんじゃないかなと、期待しています。

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