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海外でサイフをなくすとこんなことになる(3/3 ページ)

» 2020年01月27日 09時55分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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ライドシェアに乗ってれば楽だったのに……

 食事会中も、西田は電話を待っていた。全然電話は鳴らない。そんなものかもしれない。談笑しつつも、内容はあんまり頭に入ってこない。うーん。

 ホテルに戻ると、まずネットから自分のクレカ、デビットカードなどの利用歴を確認する。

 うん、問題はない。

 アメリカでのクレジットカード利用は、レストランなどでない場合、サインではなくICカードの存在+暗証番号が中心になっている。だから、盗難からの悪用の確率は減ってきている。

 とはいえ怖いので、カード会社のアメリカの緊急番号に電話をして、利用を止める。メインで使っているiPhoneの方のバッテリー残量が心もとなかったので、サブであるPixel 4+Google Fiでかける。

 この時、すごいことに気付く。音質が全然違うのだ。

 どうやら、「音質が悪くて聞きづらい」と感じていた理由は、ソフトバンク回線のiPhoneがローミングで使うSprint回線の音声品質がひどかったからだったのだ。AT&T回線につながったGoogle Fiは、日本と同じく、問題ない高音質で話せた。くっ、最初からこっちでタクシー会社に話しておけば、話が早かったのに。

 クレジットカードを止めたあたりで、深夜25時。

 そこでさらに気付く。

 こんなの、最初からタクシーじゃなくUberかLyftに乗っていれば、もっと楽だったんじゃないか。

 実はUberやLyftなどのライドシェアには、「運転手に忘れ物を連絡する」「15ドルの報酬で届けてもらう」という機能がある。これがあれば、すぐに状況が分かったはずなのに。

photo 忘れ物したときのためのマニュアル(Uber)

 いろいろ問題は指摘されるが、UberやLyftなどは「顧客ファースト」で可能な限りのIT化が進んでいる。だがタクシーはそうではない。今回はまんまとそのわなにはまったのだ。

 結論からいうが、結局、タクシー会社からは連絡がなかった。何度かこちらから連絡したが、「忘れ物は発見されていない」という答えが返ってきただけだし、そもそも、電話も5回に1回くらいしかつながらなかった。

 目の前にいるからとタクシーにせず、いままで通りライドシェアを使っておけば、こんなに苦労はなかったのに……。

 さすがに疲れ果てて、その日は原稿を書かずに寝た。普段のCESでは、早朝に起きて仕事をするのだが、この日ばかりはその気にもなれず、8時くらいまでぐっすり寝た。

錠前は「破壊開錠」、キャッシュカードは「アプリから再発行」をお勧め

 14日夕方に帰国したが、トラブルはさらに続く。

 サイフに家の鍵を入れていたので、まず家に入れない。

 実は自宅ではスマートロックを導入していたのだが、これも、どうにも調子が悪く、年末に取り外していたところだった。

 家に着くとネットで探した鍵屋に電話し、開錠と錠前の交換を頼む。鍵屋はすぐに現れ、作業も迅速だったが、問題が一つ。我が家の錠前は、「ピッキングが難しい錠」だったのだ。結局、採られた手段は「破壊開錠」。電動カッターで錠前の頭を切り飛ばし、中身を引っ張り出してドアをあけた。破壊開錠と錠前交換で、料金は6万円。痛い痛い。

 ただ、結果として錠前が新しくなったので、錠の回りがすごくスムーズになった。鍵屋いわく、「ピッキングが難しいタイプの錠前は、作った合い鍵を使い続けると傷みやすい。錠前交換から10年くらいで調子が悪くなることは多い」そうだ。うちの錠前も交換から10年くらいが経過しており、確かに調子が悪かった。これは、「交換の時期だった」と思って諦めることにする。

 クレジットカードは新しい番号に切り替わったが、この原稿を書いている段階では、まだ自宅に届いていない。連絡後1週間から10日なので、そろそろ届くはずだ。

photo 三菱UFJ銀行アプリ

 ちなみに、自宅のメインバンクは三菱UFJ銀行なのだが、こちらのクレジットカードは、アプリから交換・停止の作業ができる。窓口だと1100円かかるが、アプリからなら550円。万が一の時はアプリで行うことをお勧めする。

 原稿を書いているのは帰国から5日目の20日だが、いまだ現金は使っていない。もはや東京なら、キャッシュレスでもなんとかなるな、というのを身に染みて感じている。

 でも、早くキャッシュカードとクレジットカード、届いてくれないものだろうか。

 もちろん、今も、タクシー会社から発見の電話はない。

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