「デジタル遺品はどういうものであるか、ご説明をお願いします」──1月28日、衆議院財務金融委員会で「デジタル遺品」に関する答弁があった。質疑を行ったのは、日本維新の会の串田誠一議員。質疑の冒頭に挙げられた前述の問いに対して、金融庁の栗田照久監督局長はこう答弁した。
「デジタル遺品につきまして、明確な定義はないと承知していますが、一般的には持ち主の方がお亡くなりになって遺品となったPCやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータや、インターネット上の登録情報などを指すものと承知しています」
あくまで一般論としてだが、スマホやPCといったデジタル機器自体は含めず、「オンラインとオフラインに残された故人のデータや権利がデジタル遺品だ」という捉え方をしているのがわかった。これはこれで、なかなか画期的なやりとりだったと思う。
というのも、筆者が調べた限り、国会でデジタル遺品という言葉が質疑応答されたのはこれが初めてだからだ。
2018年3月23日に参議院財政金融委員会で、藤巻健史議員が仮想通貨(暗号資産)の相続時の税制について質疑したことはあったが、その際はデジタル遺品という言葉が表に出ることはなかった。
国会の場に晴れて登場したデジタル遺品という言葉(あるいは概念)。財務金融委員会ということで、質疑は持ち主が亡くなった後、デジタルの金融資産を相続人がどうやって把握するのかという疑問を軸にして進行していく。
委員会の最後の質疑で、時間は約10分間。答弁を通して見たとき、記者は「のれんに腕押し」という言葉が浮かんだ。
少し長くなるが、意義がありそうなので質疑と答弁を起こしてみた。言葉の重複などは本意を変えない範囲で修正している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR