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今、あらためてPS5の姿を想像してみる CPUとGPUはどうなる編(4/5 ページ)

» 2020年01月31日 17時37分 公開
[西川善司ITmedia]

 19年夏、AMDはNAVI世代/RDNAアーキテクチャ採用の新GPU、Radeon RX 5000シリーズを発表したものの、件のリアルタイムレイトレーシングには対応してこなかった。一連のPS5予告情報の「PS5はNAVI世代/RDNAアーキテクチャベースのGPU採用」「リアルタイムレイトレーシング技術採用」という2つの情報は「互いに結びつかないもの」としていまだに「すっきりしないPS5にまつわる謎」となっている。

photo 写真は、18年12月に東京で行われたSIGGRAPH ASIA 2018における「Realtime Live!」イベントで,SIE傘下のゲームスタジオであるポリフォニーデジタルが披露した「次世代グランツーリスモ開発に向けた技術開発」デモより。このデモはレイトレーシングベースであることが報告された。次世代グランツーリスモにレイトレーシング技術が適用されることは間違いない?

 PS5のGPU性能の予測は、情報がないので難しいが、「8Kに対応する」というヒントから妄想を膨らませてみよう。

 標準PS4のGPU性能は1.84 TFLOPSで、当時はフルHD描画/60fpsへの完全対応がアピールポイントの1つでもあった。PS3もフルHD/60fps対応だったが、グラフィックスヘビーなゲームはほとんど720p前後か、それ以下からのアップスケール表示だった。このPS4の1.84TFLOPSを基準に考えると、4倍の解像度になる4Kレンダリングには、単純計算で7.36 TFLOPS(1.84TFLOPS×4倍)が必要になる。

 しかし、4K対応とうたわれて16年に登場したPS4 ProのGPU性能は4.2 TFLOPSで、7.36 TFLOPSの57%程度の性能だった。結局、PS4 Proでは、4Kフレームを“すきっ歯”状にフルHDの2倍相当のピクセル数で描画したフレームを、ポストエフェクトで4K解像度に成形するチェッカーボードレンダリング法を採用して4K対応を果たしていた。つまり、リアル4Kレンダリングをものにしてはいなかった。おそらく、PS4 Proで疑似4K描画対応止まりだったGPU性能が、PS5ではリアル4K描画対応にはなることだろう。すると、7.36TFLOPS以上になることは間違いないと思われる。

photo チェッカーボードレンダリング法

 問題は「8K対応」をどこまで信じるかだが、「プレイステーション 4 Pro」の時と同じで、チェッカーボードレンダリングなどを使ったり、あるいは最近のゲームグラフィックスで採用が進むVariable Rate Shading(VRS:不均等解像度シェーディング)技術などを活用することで、疑似8K対応となるのではないか、と筆者は考えている。もし、リアル8K描画に対応するとすると、「フルHD:1.84TFLOPS」の4×4の16倍、29.44TFLOPSの性能が必要になるが、これは現行PC向けウルトラハイエンドGPU性能をはるかに凌駕(りょうが)してしまうのであり得ない。

 この29.44TFLOPSの半分前後の14TFLOPSあたりが予想範囲の最高値なので、実際には「7.36TFLOPS以上、14TFLOPS以下」の範囲に収まるのではないだろうか。

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