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» 2020年02月04日 07時01分 公開

今、あらためてPS5の姿を想像してみる ストレージ、サウンド、コントローラ、光ディスクはどうなる編 (3/5)

[西川善司,ITmedia]

PS5の新コントローラは磁性流体採用か?

 PS5では、ゲームコントローラも進化することが予告されている。それは「ハプティック技術の搭載」と、「L2・R2ボタンに抵抗力を感じさせるアダプティブトリガーの採用」だ。

 ハプティック技術は、いわゆる振動機能を指すと思われるが、WIREDの記事では「かなりきめ細かな振動制御が行えている実感がある」「ボイスコイルモーターが採用されているようだ」というような記述が見られる。

 ボイスコイルは、回転ではなく一次元的な動きをするリニアモーターだ。このタイプの振動素子で幅広い振動周波数特性を持つものだとアルプスアルパイン(旧アルプス電気)の「ハプティックリアクタ」が挙げられる。これは「Nintendo Switch」の「HD振動」でも採用された振動素子のため、PS5の新コントローラに採用されても不思議ではない。

 ちなみに、アルプスアルパインはSwitchのHD振動に採用されたハプティックリアクタの新バージョンを18年にリリースしている。SwitchのHD振動世代のものは2共振タイプで出力振動周波数が150Hz〜330Hzだったが、新版では100Hz〜570Hzと振動周波数のダイナミックレンジをさらに広げている。PS5に、これが採用されている可能性はなきしにもあらず、といったところだ。

photo 写真左が「Nintendo Switch」の「HD振動」に採用された2共振タイプの旧版の「ハプティックリアクタ」で出力振動周波数が150Hz〜330Hz。写真右は新版で4共振タイプへと進化し、出力振動周波数は100Hz〜570Hzへと拡大された。ただし、サイズが少々大きい

 アダプティブトリガーについては、「トリガーボタンに多段階の反発力を与えるもの」という解説があることから、いわゆるフォースフィードバック技術が適用されているものと推察される。

 フォースフィードバック技術を採用したゲームコントローラは90年代初頭からから存在するため、ありふれたものという印象はあるが、DualShockサイズのゲームコントローラに従来型のモーターベースのフォースフィードバック機構を入れ込むのはかなり難しいと考える。

 これまでの多くの反力抵抗を生じさせるタイプのゲームコントローラのフォースフィードバックは、電動回転モーターとギアから構成されていた。DualShockサイズでは、搭載できるモーターの出力は限られ、2つのトリガーボタンに対して独立したフォースフィードバック生成を行うとなると、電動モーターとギアのセット2組を組み込まなければならず、その実現難度は高い。

 ただ、これをブレークスルーできる技術がある。それが磁性流体技術だ。

 磁性流体とはMRF(Magnetorheological Fluid)またはMF(Magnetic Fluid)と略記される素材だ。フェライト(酸化鉄セラミック)などの磁性微粒子とポリオレフィンなどの液状溶媒でできている液状の素材で、磁力に励起されて粘度が替わる特性を持つ。

 磁性流体は、簡単に言うと磁力の強弱の影響で液状の材質の硬さを変えられる素材で、電磁石を用いて磁力の強さを制御すれば磁性流体の粘度を多段階に制御できる。磁性流体はその特性上、磁力の強弱で基準状態から数百倍の粘度を出すことができ、自動車のサスペンション、クラッチ、ブレーキなどにも応用されるほど、エネルギー変換効率がよい。

 この技術は応用が進んでおり、実際にゲームコントローラに活用されたことがある。直近で有名なのはバンダイナムコグループが「VR ZONE SHINJUKU」で稼働させていた釣りVRアクティビティの「GIJIESTA」で使われていた釣りざおコントローラだ。VR体験中に魚が掛かると、プレイヤーは釣りざおに取り付けられているリールのハンドルを回すことになるのだが、掛かった魚の動きに合わせてハンドルの回転抵抗が変化する。この回転抵抗の創出に磁性流体が使われていた。

photo バンダイナムコがVR ZONE SHINJUKUで稼働させていた釣りVRアクティビティの「GIJIESTA」の釣り竿コントローラには磁性流体が使われていた

 このGIJIESTAのリールの回転抵抗に使われていた磁性流体式フォースフィードバック生成技術は、栗本鐵工所(くりもとてっこうしょ)のSoftMRF(PDFへのリンク)を応用していた。

 前出のアルプスアルパインも、車載機器のツマミの軸受けに対する、動的な「多段階のクリック感」「一定角度、回すごとにツマミ回転がロックされるような感覚」を再現する機構に磁性流体を応用する「ハプティックコマンダー」を発表している。

photo ハプティックコマンダーのデモ。ただのツマミがプログラムされた反力抵抗の加減出力によって「完全ロック(回すことができない)表現」「多段階ギアが組み込まれたようなガチャリとした機械的な反力感」「一定間隔ごとに押し込み抵抗が強くなるようなクリック感に近い反力感」を再現できていた。こうした表現がトリガーボタンに採用されれば確かにかなり楽しそうである

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