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感染スマホを“踏み台”に、マルウェアばらまく──巧妙化する「Roaming Mantis」の手口(2/2 ページ)

» 2020年03月17日 07時00分 公開
[高橋睦美ITmedia]
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 これまでもサイバー攻撃者は、マルウェアに感染したPCやIoT機器をbotネットとして用い、スパムメールやフィッシングメールの配信、マルウェアの配布に使ってきました。これらと同じように、新たに見つかったマルウェアは、感染したスマホからSMSをばらまき、Androidマルウェアを配布・再拡散する機能を備えているそうです。

 「ユーザーがPCからスマホに移るにつれ、マルウェアもPC向けだけでなくスマホに進出してきた。攻撃インフラもPCからスマホになってきている」(石丸氏)

photo Kasperskyのリサーチャー、石丸傑氏

 スマホは家でも会社でも外出先でもインターネットにつながっており、PC並みのスペックを備えていますし、人によっては複数台所有しています。攻撃者はこうした特徴に目を付け、この1〜2年でPCだけでなくスマホを攻撃インフラとして使い始めたそうです。「スマホを経由し、どんどん雪だるま式にマルウェアが拡散されるインフラが整ってしまう恐れがある」と石丸氏は警告しました。

 海外の携帯電話事業者の場合、SMS送信は通数ごとに課金され、多数のメッセージを送信すると課金額が跳ね上がるので気付きやすいのですが、日本では課金体系が異なることも、踏み台化に気付きにくい要因だといいます。

 今回、石丸氏が見つけたマルウェアは、IMSI(携帯電話の回線契約ごとに割り振られる管理用の番号)をチェックしてキャリアを確認します。さらに、攻撃メールを配信した際の結果を、攻撃者が操るC2サーバ側で確認し、不達メールなどは弾いた上でリストを自動的に生成するなど、さながらマーケティング業者のような動きもとるそうです。

 対策に特効薬はありません。石丸氏は「スマホでもセキュリティ対策ソフトを導入して1つの防壁を作る」「メッセージが届いても、クリックする前に一呼吸置く」「URLをクリックしてフィッシングサイトに誘導されたとしても、アプリではなくWebブラウザかどうかをチェックする」といった基本的な事柄に留意してほしいと述べ、「自分が被害者になるだけでなく、SMSをばらまく加害者にならないよう気を付けてほしい」と注意を促しました。

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