香川県弁護士会は5月25日、香川県議会が4月1日に施行した「ネット・ゲーム依存症対策条例」を巡り、条例の廃止を求める声明を公表した。条例は制定の根拠が十分ではなく、憲法や「子どもの権利条約」にも反する部分があるとしている。
香川県議会は4月、「ネット・ゲームの過剰な使用は学力や体力の低下を招く」「世界保健機関(WHO)はゲーム依存症を疾病として認めている」として同条例を制定。第18条では「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」など、具体的な時間制限も定めた。
香川県弁護士会は、香川県議会が指摘している「ネットやゲームの過剰な使用の影響で香川県の小中学生の成績が下がっている」という事実がないことや、他県に先駆けて条例を制定するほどの社会問題になっていないことなどを指摘した。
その他、「ネット・ゲーム依存症の定義がWHOの定義と異なる」「ネット・ゲームの有用性が十分に考慮されていない」「ネット・ゲームの使用制限時間に科学的根拠がない」などの問題点を挙げている。
具体的な時間制限について言及している第18条を巡っては、憲法13条の自己決定権や、子どもの権利条約31条の“遊ぶ権利”、12条の“意見を表す権利”を侵害する可能性もあるとして、即時削除を求めている。
同会は、ネットやゲームの使い方や教育方法は保護者の問題であり、公権力が努力義務を課すべきではないと主張。ネット・ゲームの使用時間を県が制限すると、各家庭で使用ルールを定める際に、子どもの意見が反映されにくくなると懸念しているという。
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