テーマパークの魅力はやはり、この世のものとは思えない世界の冒険や、ありえない環境に没入できるアトラクションでしょう。さまざまな視覚効果や最先端の技術を投入し、没入感を高めることで、わずか数分間の体験を最高なものにするよう、多くのテーマパークの運営企業が工夫しています。
2019年末、米国カリフォルニア州の「ディズニーランド・リゾート」とフロリダ州の「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」の両テーマパークでは、これからの未来を占うかのような最新アトラクションが登場しました。
そのアトラクションとは「スター・ウォーズ:ライズ・オブ・レジスタンス」。ディズニーが今最も力を入れている、映画「スター・ウォーズ」の世界を再現した新エリア「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」の目玉といえるライド(乗り物)です。
ディズニーはギャラクシーズ・エッジに、これまで培ってきたノウハウとIT技術を結集。ゲスト(来園者)のスマートフォンと連動して、待ち時間をなくしたり、楽しみ方を増やしたりしています。これらのテクノロジーに触れられるのも、スター・ウォーズエリアの特徴です。
今は両パークともに新型コロナウイルスの影響で休園中ですが、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートは7月11日に、ディズニーランド・リゾートは7月17日に営業を再開予定です。そろそろ行ってみたいファンに向けて、ライズ・オブ・レジスタンスの魅力を解説していきましょう。
老若男女の笑顔があふれるテーマパーク。その裏側には、AR/VR、ビッグデータ分析など来園者をもてなす最新テクノロジーの数々が隠れています。人々を魅了するエンターテインメントは、どのようにして創られているのでしょうか。宮田健氏が解説します。
ITセキュリティに関するフリーライターとして活動する傍ら、“広義のディズニー”を取り上げるWebサイト「dpost.jp」を1996年ごろから運営中。パークやキャラクターだけではない、オールディズニーが大好物。ポッドキャスト「田組fm」も、SpotifyやApple Podcastで配信中。
テーマエリアに一歩足を踏み入れると、映画には登場していなかったオリジナルの惑星「バトゥー」の世界を体験できます。ですが、目玉アトラクションのエントランスは、思わず通り過ぎてしまいそうなほど地味。なぜならそこは、レイア率いる「レジスタンス」が、帝国軍の残党「ファースト・オーダー」から隠れるための秘密基地の入り口だからです。
アトラクション乗り場が目立たない理由は、デザイン面の工夫だけではありません。ディズニーのアトラクションでおなじみの行列がないからです。オープン直後から現在に至るまで、ライズ・オブ・レジスタンスの待ち時間はなんとゼロ。一体どういうことでしょうか。
ディズニーはこのアトラクションの参加者を管理するため、スマホ連動型のチケット「ボーディングパス」を発行しています。デジタルファストパスともいうべきこのチケットは、入園済みチケットを持つ人のみ、開園時間に合わせて、ディズニーランド公式アプリ内で入手できるようになります。
ボーディングパスは数に上限があり、開園後わずか数分で配布終了する大人気ぶりですが、取得すると確実にアトラクションに乗れます。パスの取得に成功したゲストを、運営側が所定の順番で乗り場に案内する仕組みで、入場可能になったゲストにはプッシュ通知が送られます。
この仕組みでは、ゲストは行列に並ぶ必要が一切ありません。パーク運営側も、身動きができない行列に何時間も人を閉じ込めておくよりも、その時間帯にレストランを利用してもらったり、ショップを巡ってもらったりした方が、客単価を高くできます。お互いメリットがあるわけです。
くしくも新型コロナウイルスの影響で、テーマパークにはソーシャル・ディスタンスの確保が求められています。営業再開後のウィズコロナ時代においては、ボーディングパスは“密”な行列を防げるため、感染リスクを下げる効果も期待できそうです。
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