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» 2020年04月21日 07時00分 公開

ディズニーのテーマパークがVRを目指さない理由テック・イン・ワンダーランド(1/4 ページ)

世界のテーマパークではVRを活用したアトラクションが増えてきている。しかし、VRアトラクションを定着させることは難しい?

[宮田健,ITmedia]

 この連載では、キーワードとしてよく「没入型」(Immersive)という言葉が出てきます。その没入感を実現するデバイスといえば、米Oculus VRなどが展開しているVRヘッドセットでしょう。世界のテーマパークはVR活用事例として、VRヘッドセットと既存のローラーコースターを組み合わせることでさらなる没入感を実現する新機軸を次々と打ち出しました。米フロリダ州、オーランドのテーマパーク「SeaWorld」も、2017年に「Kraken Unleashed」というVRコースターをオープンしており、ローラーコースターの挙動に合わせ海底王国の中を高速ですり抜ける映像とともに、没入感を体感するアトラクションとして運営していました。

「Kraken Unleashed」のライドスルー動画

 しかし、このアトラクションはわずか1年間でクローズし、従来の(単なる)ローラーコースターとして復活しました。その他、多くのVRアトラクションが登場しては消えているというのが現状です。

連載:テック・イン・ワンダーランド

老若男女の笑顔があふれるテーマパーク。その裏側には、AR/VR、ビッグデータ分析など来園者をもてなす最新テクノロジーの数々が隠れています。人々を魅了するエンターテインメントは、どのようにして創られているのでしょうか。宮田健氏が解説します。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

ITセキュリティに関するフリーライターとして活動する傍ら、“広義のディズニー”を取り上げるWebサイト「dpost.jp」を1996年ごろから運営中。パークやキャラクターだけではない、オールディズニーが大好物。ポッドキャスト「田組fm」も、SpotifyやApple Podcastで配信中。

ディズニーはVRが嫌い?

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは積極的にVR技術を取り入れ、期間限定で矢継ぎ早に新たなコンテンツをVR化し、既存のアトラクション(主にスペース・ファンタジー・ザ・ライド)と組み合わせることで、大きな効果を上げています。残念ながら現在は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でクローズ中ですが、ローラーコースターだけでなく「歩けるVRアトラクション」を作り出すなど、世界のユニバーサル系パークでも独自の展開を行っています。

 さて、ディズニーはどうなのでしょうか。米カリフォルニアのディズニーランド・リゾート、およびフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドではそれぞれ、ディズニーと特殊効果の制作会社Industrial Light & Magicが協力するベンチャー企業「The VOID」が製作したVRコンテンツを体験できます。

 現在ではスター・ウォーズの世界に入り込む「Star Wars: Secret of the Empire」や、「シュガー・ラッシュ:オンライン」のVRコンテンツ「Ralph Breaks VR」、最新コンテンツの「Avengers: Damage Control」が楽しめます。私もいくつか体験しましたが、VRゴーグルを経由して見ると、隣で同時に楽しむ人がストームトルーパーの格好になっていたり、目の前にあのダース・ベイダーがライトセーバーを振りながら歩み寄ってくるリアリティーを感じたりと、VRならではの没入感を楽しめました。

米国各地に展開する「The VOID」
ジャケットとVRゴーグルを付けて体験するプログラム、体験後はこのような動画も送られてくる
「Star Wars: Secret of the Empire」の予告映像

 ディズニーはこのThe VOIDのプログラムを、パークの外のエリアで運営しています。つまり、パークの中に入れてアトラクションとして運営しているわけではありません。ここから、ディズニーがVRに対してある程度の距離を置いていることが分かります。その理由は、上記シーワールドのVRアトラクションが無くなった理由とも重なるようです。

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