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» 2020年06月16日 11時00分 公開

LINE、デジタルトレーディングカードに参入 ユーザー間の売買も可能 「コロナ禍に悩むクリエイターに新たなマーケットを」

LINEが、オンラインでトレーディングカードを収集できるスマホアプリを2020年夏にリリースすると発表。アイドルやインフルエンサーなどを映したデジタルカードを販売するサービス。ユーザー同士が自由にカードを売買でき、取引の際にはコンテンツの権利者にも収益が発生する。「コロナ禍に悩むクリエイターやコンテンツ事業者に新たなマーケットを提供する」という。

[吉川大貴,ITmedia]

 LINEは6月16日、オンラインでトレーディングカードを収集できるスマホ向けアプリ「VVID」(ビビッド)を2020年夏にリリースすると発表した。アプリでは、アイドルやインフルエンサーなどを映したデジタルカードを販売する。ユーザー同士でもアプリ上で自由にカードを売買でき、取引の際にはコンテンツの権利者にも収益が発生する。同社の上遠野大輔さん(エンターテイメント事業推進室 室長)は「コロナ禍に悩むクリエイターやコンテンツ事業者に新たなマーケットを提供する」という。

 アイドルやドラマ出演者のカードや、ロッテのチョコレートのおまけシール「ビックリマン」をデジタル化したものをLINEが公式に販売する。数十種類のカードをテーマごとにまとめた「コレクション」をリリースし、そこからランダムなカードを“ガチャ”形式で購入できる仕組みになるという。

photo LINE、オンラインでデジタルカードを収集できる新アプリを今夏リリース

 例えば、アイドルグループの「浴衣コレクション」というガチャを引けば、浴衣姿のメンバーを映したカードがランダムで手に入る。映画や漫画、アニメなどのコンテンツに加え、乗り物など人物以外のカードも販売する。

photo 販売するカードの一例

 既存のカード交換アプリやオフラインのトレーディングカードとは「カード自体のクリエイティブ」で差別化を図るという。

 具体的には「1時間ごとに全く異なる音声を再生するカードを実装したり、裏面に著名人のコメントを載せたりして、ユーザーがカードを集めたくなる工夫を凝らす」(佐々木章子さん VVIDチーム プロジェクトマネージャー)としている。スマホを傾けることでカードに映る人物の表情が変わったり、画面をスクラッチすることで衣装が変わったり──など、スマホアプリならではの演出も検討している。

 ユーザーは手に入れたカードをアプリ内で使用できる「VVIDコイン」で自由に売買できる。売りたいカードの価格を決定してマーケット(交渉で使う掲示板)に投稿すると、購入したいユーザーがカードの価格や管理ナンバーを確認したうえでVVIDコインを支払う仕組みだ。

 管理ナンバーは全てのカードに割り振られており、そのカードが正規品であることと発行された順番を示す。そのため、交換の際に「不正に複製されたカードと交換してしまった」「最初に発行されたカードと聞いていたのに、うそだった」などのトラブルが起こる可能性は低いという。カードをスクリーンショットできないようセキュリティロックをかけることで、アプリ外での不正な二次流通も防ぐ。

 アプリ内でコミュニケーションを取れる機能も実装する予定。チャットアプリのような会話型か、Twitterのようなタイムライン型を検討しており、ファン同士のクローズドなコミュニケーションを支えられる機能にするという。

2次流通でもクリエイターに収益──コンテンツホルダーに新しいマーケットを提供

 タレントの所属事務所をはじめとしたコンテンツの権利者は、カードの販売で得た利益をレベニューシェア形式で獲得できる他、ユーザー間のカード売買が成立した際にも収益を得られるという。

 「本やDVDなどの中古売買では権利者に収益が発生しないが、VVIDでの二次流通なら権利者もロングテールで収益が得られる」(上遠野さん)という。スクリーンショットの制限や管理ナンバーには、不正な二次流通や転売を防ぐことで、本来の権利者に利益が行きわたらない事態を防ぐ狙いもある。

photo LINEの上遠野大輔さん(エンターテイメント事業推進室 室長)

 上遠野さんはVVIDを立ち上げたきっかけについて「エンターテインメント業界ではデジタルコンテンツの活用が進んでおらず、多くはプロモーションでの利用にとどまっているため」と話す。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、アイドル・歌手のイベントや物販が相次いで中止になる状況を受け、デジタルカードを運営元の新たな収益源として提供する狙いもあるという。

 将来は入手できる地域や枚数、期間を限定したカードなども実装し、リアルイベントや町おこしでの利用も見込むという。インディーズバンドや映画など、サブスクリプションサービスがカバーできない小規模なコンテンツ事業者との提携も狙う他、アプリのグローバル展開も予定し、クリエイターがコンテンツを海外展開する際の足掛かりとしても機能させたい考え。

 チャットアプリ「LINE」やライブ配信サービス「LINE LIVE」と連携し、LINE公式アカウントを通した新カードの告知やライブ限定カードの販売も計画しているという。

【更新履歴:2020年6月16日午後0時32分 本文の一部表記を変更しました。】



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