ビジネス向けコラボレーションツール「Slack」を手掛ける米Slack Technologiesは7月22日(現地時間)、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会に米Microsoftを独禁法違反で提訴したと発表した。
MicrosoftがSlackと競合するコラボレーションサービスの「Teams」を「Office 365」にバンドルするのは独禁法に違反するとSlackは主張した。市場を支配するOffice製品にTeamsをバンドルすることで数百万人のユーザーにインストールを強要し、このサービスの本当のコストを顧客から隠しているという。
Teams自体はOffice 365に含まれるのでOffice 365ユーザーは無料で使えるが、「Slackは企業のソフトウェア予算の2%程度しか必要としないが、MicrosoftのOffice製品は100%要求する」とSlackは主張する。
「Microsoftは過去の行動を繰り返している。脆弱な模倣品(Webブラウザ「Internet Explorer」を指す)を作ってOffice製品に結びつけ、ユーザーに強制的にインストールさせた。今回の行動はあの“ブラウザ戦争”の再現だ」(Slackの法務顧問、デビッド・シェルハース氏)
欧州委員会はこの申し立てを受け、Microsoftの公式調査を開始するかどうか検討する。
Microsoftのサティヤ・ナデラCEOは同日の業績発表後のTeams会見で、10万人以上のTeamsユーザーを抱える組織が69あると語った。DAUについては4月、7500万人を超えたと発表している。Slackは昨年10月にDAUを1200万人と発表した後、数値を更新していない。
Microsoftは英BBCなどのメディアに対し、「われわれはユーザーの求めに応じて動画を使ったコラボレーションを可能にするTeamsを開発した。コロナ禍で、Teamsは記録的な成長を遂げたが、Slackには動画チャット機能がないため、そうはなっていない。(中略)われわれは、欧州委員会に情報を提供し、どんな質問にも答えるつもりだ」という声明文を送った。
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