中国ByteDance傘下で米国に拠点を置くTikTokの米オフィスは8月7日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領が6日に署名した大統領令についての声明文を発表した。「適切なプロセスなしに発令された最近の大統領令にショックを受けた」としている。
トランプ氏の大統領令は、米国企業に対し、ByteDanceとの取引を禁止するというもの。45日間の猶予を設けた上で、ByteDanceとその子会社とのすべての取引を禁止する。つまり、アプリストアでもTikTokアプリを公開できなくなる見込みだ。
TikTokについては現在、米Microsoftが買収交渉を進めており、トランプ氏も米国企業が買収するなら事業継続を認めると示唆している。トランプ氏は話し合い完了の期限を9月15日としており、大統領令の猶予期限は9月20日までだ。
TikTokは声明文で、「われわれはこの1年、米連邦政府が示した懸念に対し建設的な解決策を提供するために誠実に協力するよう模索してきた。(中略)その努力に対して米政府から受けたのは、適切な法的手続きを経ずに合意の条件を定め、民間企業の交渉(Microsoftとの買収交渉を指す)にそれを適用しようとしたことだった」と米政府を批判する。
トランプ氏が大統領令の根拠だとする「レポート」は具体的に示されておらず、アプリが悪用される「可能性がある」という主張には根拠がないと指摘。「TikTokがユーザーデータを中国政府と共有したことはなく、コンテンツの検閲に応じたこともない。(中略)米企業への米国内事業の完全売却を進める意欲さえ表明した」と主張する。
「法による支配が損なわれず、企業とユーザーが公平に扱われるようにするために、利用可能なあらゆる措置を追求する──行政がだめであれば、米国の裁判所も」(TikTok)
大統領令とは、米国の大統領が議会などの承認を経ずに連邦政府機関に対して出すことができる行政命令。法律と同等の効力を持つが、議会はこれに対抗する法律を作ることで対抗でき、最高裁も違憲判断が可能だ。例えば2018年、メキシコからの不法入国者への難民資格提供を制限する大統領令は最高裁により違憲と判断された。
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