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人工衛星データ使った世界の降水予報、理研ら研究チームが公開 「富岳」も活用へ

» 2020年08月21日 12時35分 公開
[ITmedia]

 理化学研究所(理研)、千葉大学、東京大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)らの国際共同研究グループは8月20日、人工衛星による世界の降水観測データ(GSMaP)を生かした5日後までのリアルタイム降水予報を、「GSMaPxNEXRA 全球降水予報」として公開した。

 人工衛星による降水観測データを直接利用しているため、雨量計などの降水観測が限られている地域の予報への活用が期待できるとしている。

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 「降水ナウキャスト」と「数値天気予報」という2つの異なる予測データを統合する新たな手法を開発し、5日後までの世界各地の降水予報を実現した。

 降水ナウキャストは、観測データによる直近の降水分布の動きを捉え、将来の降水分布を予測する手法。雨雲の発生や発達など気象学的なメカニズムを考慮しないため計算が単純で高速に予測できるが、予測時間が長くなると精度が急速に低下するという問題があった。

 数値天気予報は、気象学的なプロセスを考慮した物理学の方程式に基づき、衛星データも活用したシミュレーション計算を行うことで高精度に予報できるが、スーパーコンピュータを使った複雑な計算が必要だ。

 2つの予報を組み合わせた「GSMaPxNEXRA 全球降水予報」は、人工衛星による降水観測データを利用することで、雨量計やレーダーなどの降水観測が限られている地域の降水予報も可能。「地球規模で増大している大雨や渇水などの予測情報としての活用が期待できる」としている。

 研究チームは今後、スーパーコンピュータ「富岳」を用いて降水予報の更なる高度化に取り組む。

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