新型コロナ感染症の流行により、鉄道業界は大打撃を受けている。東京オリンピック・パラリンピックで期待されたインバウンド需要は、コロナ禍による入国制限でなかったことに。7月の訪日外国人数は前年比99.9%減を記録した。都市部では3月からの外出自粛要請の影響もあり、テレワークへの移行が大幅に進み、定期券の解約にもつながっている。
日本最大の鉄道会社のJR東日本は特に深刻な影響を受けている。2020年7月から9月までの運輸収入は前年度比45.8%の4343億円まで落ち込んでいる。終電時間の繰り上げやオフピーク運賃の導入など、新しい日常への対応を進めている。
そんな中、JR東日本は11月27日、持て余した鉄道車両を生かしつつ、テレワークの需要に応えるユニークな取り組みを始めた。成田エクスプレス(N'EX)で使われているE259系電車を駅に留め置き、シェアオフィスサービス「STATION WORK」のコワーキングスペースとして貸し出す実証実験だ。27日と28日の2日間限定で実施される。
利用料金は15分100円(税別)。追加料金なしでグリーン車も利用できるという。コワーキングスペースとしての成田エクスプレスの体験を、記者がレポートする。
STATION WORKは、JR東日本が2019年から展開しているシェアオフィスサービスだ。利用するスペースをスマホ上で予約して、決済はクレジットカードで行う。駅ナカに設置された個室型のシェアオフィス「STATION BOOTH」が本来のサービスだが、今回のN'EXでのスペース予約も同じサイトから行える。
会員登録後、実証実験サービスの提供日時を選択すれば「成田エクスプレスA〜E」という項目が表示される。予約システムの都合上、5項目に別れているが、座席の指定はない。利用時に空いていればグリーン車も追加料金なしで利用可能だ。料金は予約時に表示され、利用する時間に応じて30分なら220円、120分なら880円(いずれも税込)となっていた。
STATION WORKの会員サイトで表示されるQRコードを、両国駅3番線ホームの入り口にある受付で提示して利用する。受付時にはサービス案内のパンフレットとアンケート、除菌ウェットティッシュのセットを手渡された。改札外にある駅のコンビニやそば屋で使えるクーポンも入っていた。列車は動いていないため、いつでも外に出てリフレッシュできる。途中退出してコンビニなどに寄ることも可能だ。
27日午後の時間帯には普通車はほとんど人がおらず、6両編成のうち1両の半分しかないグリーン車は人気が集中しているようだった。それでも、1人で左右の2席を占有できる程度の余裕はあった。
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