東宝は12月15日、国内興行収入歴代1位のアニメ映画「千と千尋の神隠し」の興行収入をこれまでの308億円から316億8000万円に更新した。夏に行ったリバイバル上映の興行収入を上積みした。映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が追い上げる中での数字更新にネット上はざわついたが、東宝は「他意はない」としている。
ジブリ作品をリバイバル上映した背景にはコロナ禍があった。緊急事態宣言が出た4月から5月中旬にかけて全国の映画館は休館を余儀なくされ、6月に営業を再開したものの洋画、邦画を問わず注目作品は軒並み公開を延期。感染予防措置として間隔を開けて座席を販売したこともあり、第2四半期の入場者数は前年比−75.6%まで落ち込んだ。
新作の上映が難しい中、東宝は「天気の子」や「シン・ゴジラ」といった旧作の再上映に活路を見出す。スタジオジブリにも協力を要請したところジブリ側は快諾。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、Webメディア「BUSINESS INSIDER」のインタビューで「これまで映画館にはお世話になってきたので、これは協力しなければと二つ返事でOKしました」と話している。
リバイバル上映は全国374館で6月26日から始まった。キャッチコピーは「一生に一度は映画館でジブリを」。「風の谷のナウシカ」(1984)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ゲド戦記」(2006)の4本を上映した。ゲド戦記は鈴木プロデューサーのチョイスだった。
チケットは通常より安い一般1100円。発売直後は東宝の上映劇場ページにアクセスが集中し、つながりにくくなるほどの人気になった。
日本映画のヒットの目安は興行収入10億円といわれるが、スタジオジブリの4作品はリバイバル上映で計26.2億円の興行収入を上げた。このうち「千と千尋の神隠し」は8.8億円だった。
映画「鬼滅の刃」が追い上げているタイミングでの発表になったものの、東宝は「たまたまこのタイミングになっただけ。他意はない」と話す。「例年、この時期に年間の作品別興行収入などを発表しているが、基本的に旧作(の興行収入)が大きく変わることはない。それだけ今年が特別な年だった証左と考えている」。
【訂正:2020年12月17日10時30分更新 ※社名の誤りを修正しました】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR