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連邦議会議事堂襲撃事件から見える「SNSの時代」を総括する SNSから締め出せばそれでいいのか?(2/3 ページ)

» 2021年01月13日 11時35分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

エコーチャンバーの果てにあったもの

 SNSやYouTubeの課題は、もう長く指摘され続けてきた。今に始まった話ではない。課題とは、自分が好む・信じたいものを得続けることができるため、いわゆる「エコーチャンバー」効果が働くこと。その結果、非常に狭く、強い思想性を持ちやすいということだ。

 その過程でメディア不信が強く影響しているのは間違いない。「メディアは真実を伝えていない。フェイクニュースだ」という言葉は、人々の気持ちを強く刺激しやすい。エコーチャンバー効果で「真実を発見」してしまった人は、より強く信じやすくなる。

 もちろん、メディアが間違った情報を伝えたり、強調されすぎた見方をすることもある。メディアの側の人間である筆者も、それを感じることはあるし自省しながら仕事をしている。

 だが一方で、いくつかの違和感からメディアが信頼されなくなり、そこからのエコーチャンバー効果で「普通ならば信じるとは思えないこと」を強く信じるようになってしまうのもまた事実だ。

 どんな意見でも主張する自由はある。だが、それが社会正義や全体の福祉と衝突する場合、許容されるだろうか?

 アメリカではそうしたことが、今、急進的に進んでいる。過去数年間進んできた「信じるものの違い」での分断が、ある意味最悪の形で衝突を迎えた結果、アレルギー反応のようにSNSの強い自己規制に進んでしまったのだ。

 だが、問題はアメリカでだけ起きているのではない。日本でも結局同じなのだ。今なら「新型コロナウイルスなど怖い病気ではないので、何もしなくていい」という主張がそれに当たる。ある意味、危険な状態だ。

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