パナソニックはここ数年、CESでは製品ではなくソリューションをアピールすることが多い。同社がB2B主軸に変わってきたこと、市場によって販売している製品がかなり異なることなどが理由だ。今年は日本の場合、東京で独自イベントをやっていた……のだが、緊急事態宣言中でもあり、あまり強くアピールできなかった部分はある。各ソリューションは、それぞれパナソニックのサイトで単独のビデオが公開されていて、そちらを見る前提にはなっている。
ただ、その辺を加味しても、プレスカンファレンスの映像はひどかった。
まず構成が悪い。自社ごとであるオリンピック関連を最初に長く時間をかけて紹介した。それをCESで聞きたい人はどれだけいるんだろうか? また、この状況下ではどう転ぶか変わらないだけに皮肉に見えてくる。リモートの話をしたわけでもない。
基本的にはステージイベント形式なのだが、これの見せ方も悪い。単に関係者が話すだけで、内容が分かりにくい。プレゼンの話の中には数字や重要な情報も出てくるのだが、それらがプレゼン資料に表示されず、プレゼン資料があったと思っても大写しにならない。いったい何を見せたかったのだろうか? 下からあおって撮影されたディスプレイにプレゼンが合成されていても、見づらいだけだ。しかも端が切れている。合成などいろいろ技術的に工夫はしているのは分かったが、それが一切生きていない。
車載系で面白い話をしていても、プレゼン資料が動画ではなく静止画だったり、話者がずっと映っていたりと、とにかく何を見せたいかが分からない。
最後にカメラなどを少し紹介したが、それは「実物をその場で手に持って映す」べきではなかったか。また、今年も、非常に見栄えのするものであるはずの「VRグラス」はカンファレンスでは言及されなかった。派手すぎて他が霞むとでも思っているのだろうか。
ここ数年、パナソニックのCESカンファレンスは本当にひどいものが多かったが、今年も変わらなかったし、他国との差がよりはっきりしてしまったのがとにかく残念だ。
評価:☆
テレビを中心にした中国メーカーだが、アメリカでもシェアを拡大していることから、テレビのアピールが中心だった。
構成は実にシンプル。自社製品の横でプレゼンをする、というだけなのだが、映像クオリティがちゃんとしており、プレゼン自体の出来も分かりやすいので見やすい。シンプルに製品推しなら、この形式がベストなのだろう。
評価:☆☆☆
キヤノンのプレスカンファレンスは、パナソニックと並ぶ「問題作」だ。
全編がほぼフィックスの画角。キヤノンUSA・プレジデント兼CEOの小川一登氏が方針をひたらすら話す。途中に多少PVも入るが、それだけだ。
一方で、そもそもが「方向性表明演説」のようなもので、社長会見の挨拶的。製品発表でもないので、構成的に理解はできる。発表内容として貧弱なのはともかく、「責任者が方向性を語るビデオ」なら、こういう構成もナシではない。まあ、全体が15分と短いのでこれでも「ギリギリ我慢できる」レベルなのだが。他社はもっと工夫している。
それより、映像としては一番作りがひどいのが気になる。カメラメーカーのプレゼンとしてこれでいいのか。
評価:☆
Mercedes-Benzは、同社が開発中の「MBUX Hyperscreen」という、1枚のディスプレイで作られた車載用ダッシュボードシステムの紹介に注力した。
これはこれで面白く、動画として見る価値がある。プレスカンファレンスの動画は公開されていないが、MBUXの動画は公開されているので、興味があればご覧いただきたい。
MBUXの説明に注力していたので、プレゼンも合成によってMBUXを見せながら説明する形式。これはこれでシンプルだが、まあ、プレスカンファレンスかと言われると、多少疑問も出てくる。
評価:☆☆☆
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