光源にはいろいろな種類があり、主に蛍光灯やLEDは高速に点滅を繰り返しているため、撮影のタイミングによっては暗くなってしまうことがある(フリッカー)。ソニーに限らず多くのカメラでこれを抑える「フリッカーレス撮影」機能が搭載されているが、α1ではメカシャッターだけでなく、電子シャッターでもフリッカーレス撮影が可能になった。
電子シャッター時でも1/400秒でストロボ同期できる機能もうれしいところだが、個人的にはLED光源のお世話になりがちなので、今後の機種への反映も込みで大変うれしいポイントだ。
0.64型(1.6cm)の電子ビューファインダー(EVF)を採用している。約944万ドットと高精細でドットのあらが見えず、肉眼で被写体を見たかのような視認性だ。ピント拡大時もピーキングなしでピントを追い込みやすい。部材としては「α7S III」と同様のものとのことだ。
レンズ次第になるが、MF時に拡大しなくてもピントピークをチェックできるほど。EVFのフレームレートはSTD(60fps)、HI(120fps)、HI+(240fps)の3つから選択でき、シャッターチャンスにより強くなった。普段から144Hzのゲーミングモニターなどを見ている人にも安心の仕様だが、HI+ではある程度、画質を間引いての表示になっていたため、人によっては状況に応じて変更しやすいようにファンクションボタンなどをカスタムしておく必要があるだろう。
ついでにだが、背面の液晶モニター。これは「α7 III」と同じ部材ながら、表示する際の処理を変更しているそうだ。コントラストが気持ち高めな印象を受けたが、色の正確性はEVFの方がいいように感じられた。クライアントに撮影直後にちょっと見せてOKをもらっても、いざ納品した際によくある「色が違うんじゃない?」イベントの撲滅には至らない。α1発表と同時に発売日などのアナウンスがあったプロ向けスマートフォン「Xperia PRO」を使えということだろうか。
無線通信はIEEE 802.11a/b/g/n/ac、そして2×2 MIMO(アンテナを複数使って接続性や通信速度を上げる技術)に対応する。α7R IVからケーブルレスでのリモート撮影やデータ転送を積極的に使わせたいというソニーの意図を感じられていたが、α7R IVのアンテナ性能は非力で接続エラーが出がちで、信頼性はあまり高いものではなかった。
α1では無線アンテナが2本に増えたことで、接続性と転送速度が向上したため、スタジオだけでなく屋外でもリモート撮影がやりやすくなりそうだ。報道やスポーツシーンからの要望に対応した結果と思われるが、転送処理もシングルスレッドからマルチスレッドに変更された。これにより動画の転送速度も向上しており、この点もマルチソースめいてきたカメラのデータ転送事情からすると、とてもうれしい。
ハイエンドオールラウンダー機α1の登場により、αシリーズの住み分けがより明確になった。画素数を求めるならRシリーズ、動体撮影重視ならα9シリーズ、高感度+動画ならSシリーズになるし、入口としてはα7 IIIや小型機のα7Cが用意されている。
用途が明確であるほど、どのボディを選ぶべきか判断しやすくなったといえる。これは開発側からしても新製品をより尖らせやすくなったともいえるため、今後のラインアップが楽しみだ。1月28日からソニーストアでの実機展示がスタートするため、α1に触れて検討してみるといいだろう。ジャックス神は、そこにいる(※)。
※編集部注:ご利用は計画的に
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