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絶妙な“引き算”で使いやすくなったコンパクトミラーレス、富士フイルム「X-E4」荻窪圭のデジカメレビュープラス(4/4 ページ)

» 2021年03月29日 15時10分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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 便利なのはISO AUTOの設定を3種類用意できること。最高ISO感度を変えたり、ISO感度が上がるタイミングのシャッタースピードを変更したりできる。

 ボディ内手ブレ補正を持たないこともあり、レンズ側に手ブレ補正がない場合はシャッタースピードをある程度高く保ちたいもの。特に手ブレ補正を持たない単焦点レンズが多くラインアップされているので、手ブレ補正付カメラに慣れてしまってる人は気をつけたい。

手持ちで夜景を撮影。光芒がそれなりに出てくれるF5.6にセットしてISO12800で(15-45mm 15mm 1/15秒 F5.6 ISO12800)

 富士フイルムといえばフィルムシミュレーションであるが、X-T4やX-S10と同様、全部で18モード搭載。

豊富なフィルムシミュレーション、とくにフィルムっぽい画作りに強いのはさすが富士フイルムだ

 これはスナップ用カメラとして大きなアドバンテージかと思う。ちょっと朽ちた感じの被写体を「クラシックネガ」で撮ると実に良い感じになるのだ。

長年放置されて錆が浮いた昔のハイエース。これをクラシックネガで撮るとより渋くなってたまらない(27mm 1/280秒 F2.8 ISO160)

 さて、動画機能であるけれども、ボディを見ても「動画モード」や「動画撮影ボタン」は見当たらない。4K動画撮影にも対応しているが、動画を撮るには「ドライブモード」ボタンを押し、メニューから動画を選ぶ必要がある。

 4K動画にも対応しているが、基本的にはスチルカメラであると思っていいだろう。

 バッテリーはUSB-C端子からの本体内充電で、撮影可能枚数はCIPA規格で約460枚と前モデルのX-E3と同じバッテリーを搭載しつつもより良くなっており、コンパクトタイプのミラーレス機としてはなかなかの持ちだ。

 というわけで、ボディ内手ブレ補正がないとか、メカシャッターの性能や連写速度はハイエンドのX-T4に及ばないけれども、レスポンスや画質はハイエンド機ゆずり。デザインや携帯性を考えるとスナップ用として魅力的だ。

 コンパクトなボディはよりシンプルかつ精悍になり、ターゲットも「カメラを好きな人+これからカメラを好きになる人」とより明確になった感がある。

 これで富士フイルムのミラーレス一眼は、携帯性が高くスナップ撮影に向いたX-E4、動画も得意な万人向けX-S10、撮影を楽しめて仕事にも使える実益系ハイエンドのX-T4、さらに道楽系ハイエンドの「X-Pro」と性格の異なったラインアップになり(X-H1やX-T30の後継機がどうなるかは分からないけど)、より選びやすくなったと思うのである。

(モデル:長谷川実紗)

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