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「フォントの日」で驚かされた、草を生やすカラーフォントと日本語バリアブルフォント(4/6 ページ)

» 2021年04月13日 11時14分 公開
[菊池美範ITmedia]

 セッション1の後半は、アドビのシニアフォントデベロッパーである服部正貴氏によるOpenTypeの基礎知識講座。2020年に大ヒットしたコミックス/アニメーションでも使われていた漢字の異体字の使われ方を例に、どうやったら異体字を出すことができるのかを解説。

 これもIllustratorを使って実際に変更前と変更後の例を紹介している。手書き風の書体をスワッシュ字形を使ってカリグラフィ風の味わいを強めたり、スラッシュを用いた分数をフォントの中に含まれた文字の切り替え情報を利用して適切な表示をしたりと、実際の文字組みに役に立つ内容だ。じつは数字の異体字は一つの文字に多く含まれており、アプリケーション上では4分の1幅の数字を一つにまとめて4桁の数字を1文字として収めることも可能であることを紹介している。

photo アドビの服部正貴氏

 興味深かったのは、試作されたカラーフォントのデモンストレーション。このフォントはカラーフォントに対応したWebブラウザであれば、フォントだけでアニメーション表現を作成することができる(現時点ではFirefoxのみ対応)

 服部氏はこのあと「源ノ角ゴシックVF」(バリアブルフォント)版に言及。これまでの多言語対応に加え、文字パネルから文字を任意の太さで調整できることを紹介した。ここでセッションを引き継いだのは、同じくシニアフォントデベロッパーのシューレン・ザックリー氏だ。

photo アドビ シニアフォントデベロッパーのシューレン・ザックリー氏

 バリアブルフォントは太さによって同じファミリーから別のフォントを選ぶのではなく、7つの太さのフォントファミリーが一つにまとめられている。この太さはライト/レギュラー/ボールドといった区切りのある段階調節ではなく、太さを変化させるためのポイントをリアルタイムで調整しながらシームレスに太さを変えることができる無段階調整が可能。

 これはアプリケーション側で単純に文字を太らせたり細くしたりする単純なものではなく、文字のラインを構成する座標を細かく設定して、フォントの太さを調整するのと同時に、その太さのの文字に最適なデザインを生成しているのだ。動画の45分30秒から49分までの解説を再生して確認してみると理解がさらに深まる。

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