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「フォントの日」で驚かされた、草を生やすカラーフォントと日本語バリアブルフォント(6/6 ページ)

» 2021年04月13日 11時14分 公開
[菊池美範ITmedia]
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 セッション2はフォントかるた2号こと、伊達千代氏によるAdobe Fontsの遊び方。「フォントかるた」とはその名の通りフォントを使ったかるた遊びなのだが、表面に書かれている文章は全て同じもの。『愛のあるユニークで豊かな書体』という、写研の写植見本帳で使われていた例文が印刷されている。ただし、この文章につかわれているフォントは全て異なっており、読み手は読み札のフォント名と簡単な解説を読み上げ、フォントの形だけで読み上げられたフォントのかるたがどれであるかを判断して札を取るという、フォント判別のレベルを試される厳しくも楽しいゲームだ。製品として実際に販売されている。

 伊達氏はAdobe Fontsでのフォントの遊び方をもっと深めるために、かるたには収録されていないフォントも含めて解説している。そのため、このイベントのために「特別札」として制作されているものもある。今回新たに加わったFONT1000シリーズを皮切りに、各フォントメーカーの人気書体やAdobe Fonts収録書体を比較しながらフォントの魅力を解説している。Adobe Fontsは今回のリリースで参加メーカーもフォント数も大幅に増えており、無料のAdobe IDで使用できる書体もある。有料版のAdobe CCユーザーでなくとも気軽に試してみることができる。

photo フォントかるたの札に書かれている文章は「あの例文」
photo フォントかるたの読み札と取り札
photo 百人一首のかるたとは異なり、フォントの字形を札の中から素早く判別する能力が要求される

 セッション3は参加フォントメーカーによるAdobe Fonts収録書体についてリリースとデモンストレーションが行われた。39書体が新たにAdobe Fontsに収録された砧書体制作所、「游明朝体」と組み合わせるかな書体に力を入れている字游工房、関西を中心に活動し、文字MOJIパスという定額制のフォントサービスを展開するスキルインフォメーションズ、「秀英体」を全面推しとしてラインアップを充実させている大日本印刷(DNP)、「文久明朝体」と「文久ゴシック体」をPVで紹介する凸版印刷、定額制フォントサービスの元祖であるLETSのサービス内容を紹介するフォントワークス、タイプデザイナーの味岡伸太郎氏による新書体「味明朝体」「好恵の良寛さん」の解説、最後にはモリサワのモリサワパスポートに収録予定の新書体「澄月」(ちょうげつ)の紹介と、日本語フォントの拡充に期待が高まるセッションだった。

 2時間のオンラインセミナーとしては大変濃く充実したイベントであった。本記事では紹介しきれないスピーカーの方のコメントや解説も多いので、興味が深まった方は2時間のアーカイブをじっくりと楽しんでほしい。

 今回紹介されたカラーフォントとバリアブルフォントについて、アドビの岩本崇氏と山本太郎氏へのインタビューも掲載する予定なので、こちらもお楽しみに。

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