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カラーフォントとバリアブルフォントで文字表現を超えたクリエイティブへ 日本語Adobe Fontsの新たな地平(2/2 ページ)

» 2021年04月20日 10時29分 公開
[菊池美範ITmedia]
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―― カラーフォントやバリアブルフォントは印刷、Web、電子書籍での表示でどのような表現の可能性が広がりますか。また、ユーザーにおけるメリットはどのようにお考えでしょうか。

山本 バリアブルフォントについても、ダイナミックなタイポグラフィーという点でメリットがあります。例えばスマートフォンとタブレットではそれぞれに最適化されたフォントの太さが行間・行長で異なる表示をするといった、レスポンシブなフォントが求められています。バリアブルフォントはこれらの要求を満たす方法の一つとなるもので、さらに幅広い表現ができます。写植時代に行われていたアナログの技も含めて、1つのフォントでドラマチックに変化するデザイン、ユーザーが置かれた明るさや空間の環境にあわせた表示をできるという可能性も考えられます。

 どのような可能性が広がっているかという点に関しては、私たちよりもユーザーの方々が可能性を提案し、広げていただけるのではないでしょうか。

―― カラーフォントやバリアブルフォントを使う上での注意点や制限はどのようなものがありますか。

山本 日本語についてはカラーフォントもバリアブルフォントも始まったばかりなので、今後の改良点も出てくるでしょう。カラーフォントは現状RGBのみの対応で、CMYKには対応していないことが印刷の上では制約事項となっています。アプリケーションの対応もまだ少ないので、今後対応が進むことを期待しています。この点もダイナミックに変化するフォントの使い方をユーザーの方々が進められていくでしょう。

―― Adobe Fontsにフォントを提供しているパートナー企業が増えましたが、どのような経緯でパートナーシップを組まれているのでしょうか。また、Adobe Fontsをプラットフォームにして多数のパートナーさんに参加していただくメリットは、ユーザー/メーカー双方にとってどのようなものがありますか。

岩本 おかげさまでパートナーが増えたことに感謝しております。フォントのバリエーションを増やしてほしいというユーザーのご意見に応えることが大事なので、メーカーさんにご参加をお願いした結果が現在に至っております。これはツールを提供するメーカーとして一つの役目だと思っております。

 お預かりしているフォントはラインアップのごく一部ですので、メーカーから見るとプロモーション的な場として活用し、優れたデザインやファミリーがもっとたくさんあるという訴求ができることもメリットだと思います。ユーザーにとっては新たなフォントとの出会いが、パートナーにとってはビジネスにつながっていくという流れができつつあります。

山本 デザイナーの定義も以前と比べて変わってきています。以前からのユーザーである印刷系の方々だけでなく、映像系の方々にとってもストレスなく使えます。さらに多くのフォントを使いたい場合は、メーカーが用意している製品ページから追加購入されることで、フォントによる表現の幅を広げる機会も増えるでしょう。

―― 「フォントの日」をワールドワイドのイベントに発展させて、世界各地のフォントメーカーやユーザーの参加を促す計画はありますか。

岩本 フォントを愛好されるユーザーの方はワールドワイドでいらっしゃいますが、日本のユーザーはとくにフォントへの思いが強く、上手に使われているように思います。今回のイベントでも日本語圏以外の方にも楽しんでいただけるように英語のハッシュタグを用意してイベントを告知したり、日本国外のユーザーにもより関心を持っていただけるような発信を続けていきたいと思っています。

 Webフォントとして使えるAdobe Fontsは映像表現での活用でも安心して使えるのもメリットです。印刷やグラフィックスだけでなく、どんどん広い分野で活用していただきたいと願っています。

山本 インターナショナルなフォントの使用についても改善の努力をしているところです。デジタルでのコミュニケーションが国際化する中で、アドビとしてはフォント製品の細かい使い勝手までインターナショナライゼーションを進めるつもりです。



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