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労働時間の常識を捨てて自由になる 「土日は休み」 ではない生活(2/2 ページ)

» 2021年04月30日 15時06分 公開
[小寺信良ITmedia]
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 かくいう筆者も、ここのところずっと、土日も休みじゃない感じになってきている。それというのも、本メルマガ発行のために月曜日には今週分のコンテンツをそろえておかないといけないので、必然的に土日に原稿を書くことになるからだ。

photo メルマガとnoteの両方向けにコンテンツを作っている

 それではいつ休むんだ、という話になるが、実は週の昼間はかなり自由に過ごしている。午前中はだいたい畑に行って雑草を抜いたり水をやったりして終わりだ。平日は午後から原稿を書いたり撮影したり製品のテストをしたりする。つまり、1日の労働時間が短い代わりに、1日2日のまとまった休みがないというスタイルである。休みが薄ーく長ーく伸びて週にまたがっている感じといえばいいだろうか。こうした習慣は、妻が日曜日に休みでなくなったことで、ますます顕著になった。

 子どもがバドミントンのクラブチームに入っている関係で、土日どちらかは学校外の体育館で練習が入っている。筆者が住む宮崎市内には公共の体育館が少ないので、近隣の市町村の体育館を押さえることになるわけだが、そうなると車で30分ぐらいかけて送っていくことになる。

 練習は3時間程度だが、30分かけて行って戻って、また迎えに行くと時間もガソリンも無駄になるので、3時間は駐車場の車の中で待機である。実はメルマガの原稿は、ほとんどその時間に書いている。

 帰るまでになんとか終わらせたいという思いと、家で仕事している時のように家事など他のことをする必要がないので、時間効率としてはかなりいい。日も暮れてくると車の中に液晶の明かりに照らされた青白いヒゲのオッサンの顔が浮かび上がるので、訪れた人をぎょっとさせることもあるが、それはまあ仕方がない。

 そんな生活の中で減ってきたのが、飲酒だ。以前は晩酌として、夕飯時に必ずビールかワインを飲んでいたのだが、夜も運転しなければならないので、もっぱら夕飯時はノンアルコールビールに切り替わった。そんなこともあって、メルマガの追加コンテンツでもレポートしたように、ノンアルビールをいっぱい消費しているのである。

 こうして働く時間や曜日が一般の人とズレて来ているのだが、特に問題はない。それというのも、メールやメッセンジャーでの仕事の連絡は、可能な限り即答しているからである。つまり東京にいる出版社の皆さんからすれば、コデラは平日の昼間、普通の労働時間中にちゃんと稼働しているように見えている。

 なのだが、最近は出版社のほうも勤務時間が怪しくなってきた。企画の相談のメールが土曜日の夕方や日曜の昼間に届くことも珍しくなくなった。ああ、テレワークだからこの時間に働いてるのか、と思う。返事は月曜日でいいと書いてあるが、こういうものも即答している。早くボールを打ち返しておけば、向こうも時間が自由に使えるからだ。

 そうなると、土日を休みに設定する必要性はどこにあるのか、という気がする。たとえサラリーマンであっても、いつでも何曜日でも働いて、期日までに成果を出せば問題ないわけだ。特にメディアの仕事は締切や公開日までに何かを仕上げればいいわけで、ウイークデーの決まった時間内に必ず働かなければならないという縛りにはもともと向いていない。

 一方で大手メーカーの方々は、ウィークデーの就業時間内に働くということが固定されている。したがって製品発表や内覧会はその時間内に行われる。だが大手メーカーの方々だって、内情はテレワークになっており、ほぼほぼ固定された就業時間内では働いていないはずだ。ウィークデーの10時から5時ぐらいまでは普通は勤務時間、というお約束を前提に、その時間に外部に対して情報を出しているだけにすぎない。

 そもそもメーカーさんとの連絡も、今はメールが主流となっている。生身の人間をリアルタイムで捕まえる電話や訪問と違い、いつ要件を投げても構わなくなった。メッセンジャーはアラートを設定している人もいるので、まだユルいリアルタイム性を残しているが、メールに関しては「こんな時間にメールして迷惑ではなかろうか」などと考える人はもういないだろう。

 労働時間は、店舗など営業時間がきちんと決まっている人はこれまで通りだが、テレワークでOKになった人はもっとユルいルールで動き始めている。したがって「休み」の考え方自体も、変わってきて当然だ。サラリーマンが一番よかった時代は、平日みっちり働いて土日にまとめて休むのが王道だった。だが毎日仕事は少しずつで、まとめて休まないという農業っぽい働き方は昔から存在しており、決して特殊なものではない。今IT最先端の業務になるほど、そうした昔の働き方に戻っているというのは、なかなか感慨深い。

 月〜金の午前9時〜午後5時でイベントや発表といった行事をやるというのは、1つの共通フォーマットとして残り続けるだろう。しかし実労働時間をもっと自由に捉えることで、われわれはもっと生産的になれる。そして余った時間にしっかり遊んで経済を回す。そうして毎日リフレッシュして、明日に備えるのだ。

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