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若者の「テレビ離れ」は衝撃的か? 調査データから見える、今どきの若者の生活習慣(3/3 ページ)

» 2021年06月14日 09時45分 公開
[小寺信良ITmedia]
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 そのしわ寄せは、朝に来る。ここから先のデータは公開されている概要PDFには載っておらず、別途公開されている専用サイトにある。

 10代の朝の動きを見てみると、5年前と比べて男性では特に有意な違いは見られないのに対し、女性の方は午前7時以前に起床する割合が減少している。夜ふかしの影響は、女性の方が多く受けているようだ。

photo 睡眠とテレビの行為者率の比較(平日)

 7時以降の行動については、男女ともにテレビを見ず、身支度に時間を取られているのが分かる。

photo 身のまわりの用事とテレビの行為者率の比較(平日)

 年頃の子どもを育ててきた経験からすると、夜にネットばかりやって風呂に入らず、朝慌ててシャワーを浴びて頭を洗うと、今度はドライヤーで乾かすのに時間を取られて身支度に掛かる時間が飛躍的に伸びるという、ダメダメな図式が見えてくる。プラス母親の小言に対応するのにも時間が取られていく。

 そんなことで10代の朝は忙しく、悠長にテレビを見ながらご飯を食べている時間などないわけである。

 青年層のテレビを見ない傾向は、食事のタイミングが親とズレ始める16〜19歳ぐらいから顕著になると考えられる。高校生になれば通学が遠距離になり、家族より一足先に出るという家庭も多いだろう。また部活動で遅くなり、家族と夕食の時間もズレるケースも多い。それ以前は親と一緒に食事を取るので、必然的に親が点けているテレビを眺めることになる、というわけだ。

 結局、家族といろんな時間やタイミングがズレてくると、リアルタイム放送しかないテレビは見るチャンスがなく、いつでも同じコンテンツが見られるネットのほうが面白い、ということになる。

 そうして形作られた習慣は、歳を重ねても大きく変わることはない。テレビは今、若い世代を取り込む必要はあるが、インタラクティブではない以上、リアルタイムでテレビを見ろというのは無理がある。

 一方でTVerなどストリーミングサービスを通じてテレビ生まれのコンテンツに接触する機会は増える可能性があり、これからのテレビ運営はネットで稼ぐ方法へシフトせざるを得ない。

 他先進諸国がとっくにやっていることを、10年遅れで始めたということである。

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