乗り始めて最初に感じたのは、ハンドル剛性の高さだ。ハンドルが折りたたみ式ではないためガタツキが一切なく、市販用の電動キックボードと比較して直進安定性に優れていた。
ブレーキの効きはやや甘い。ホイールサイズが小さい=ブレーキも小型のものが使われるのが原因だろうか。ブレーキレバーは4本がけでしっかりと握るように心掛けたい。
加速はゆっくりとしたもの。時速15kmの速度制限のために、最高速度制限だけではなく加速力も劣る走行モードにしていると思われる。
サスペンションのついているフロント側は路面からの振動をほどよく吸収してくれるが、リジッドなリア側は路面の段差に反応しやすい。ステップボードから伝わってくる振動は硬質で、5kmほど走ると足の裏に疲れを感じてきた。
それでも5kmくらいなら楽に移動できることに、この車両の素性の良さが理解できてくる。
走行エリアの外に出ると、大きなブザー音とともにいきなりモーターが動かなくなった。路地の多い場所なら降りて押し歩くのも簡単だが、幕張新都心エリアは交差点から交差点までの距離が長く、歩道に乗り上げられるスロープ部も少ないため、車道を押し歩くことになってしまった。
GPSで現在位置を認識できるのであれば、エリア外手前の交差点で案内を出してくれたら親切なのに、と感じてしまう。
鍵を掛けて一時駐輪する機能があるのは素晴らしい。だが該当エリアにある大型商業施設に聞いてみると、電動キックボード用の駐輪場は用意していないそうだ。
1時間ほどのシェアリングでかかった料金は880円。走りに徹するならば安価だし、満足もできた。しかし観光スポットやカフェなどに立ち寄りにくい点は気になった。
シェアリングなモビリティは、鉄道駅と、駅から離れた商業施設の行き来をするために使いたいという需要が高いと思える。商業施設とも連携すれば、電動キックボードありきのケースでの行動係数を測れるだろうに。あくまで時速15kmで走行したときの状態を確かめるための実証実験なのだとしたら、少々もったいない気がしてくる。
坂道がなく、自転車専用通行帯が整備されているエリアだけに、移動のための足とするにはこの車両はベストかも、と思えてきた。
しかし幕張メッセ手前にある、歩道橋が完備されており歩道がなく、押し歩きで渡れない交差点に差し掛かったときに気が付いた。この低速・低加速な車両で、右折レーンにはいって小回り右折をするのは極めて酷だと。
他の車両と一緒に右折レーンに並び、ゆるゆると右折をするというのは多大なストレスを感じそうである。こちらとしてはルール通り走っているつもりでも、周囲のドライバーのいら立ちを誘発させてしまうのでは、という不安もよぎる。
ただ、この幕張新都心は時間帯によっては交通量の少ないエリアだ。前述したように、路上駐車も少なく道幅も広い。電動キックボードの運転を練習するのに適したロケーションであることは間違いない。車両そのものの作りは良好でクオリティーが高いので、電動キックボードが気になっている方はぜひ乗ってみていただきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR