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日本初のフリマアプリ「FRIL」創業者、今度は「家計簿アプリ」で起業 「日本一になれなかった悔しさ」ばねに(2/3 ページ)

» 2021年07月16日 08時00分 公開
[樋口隆充ITmedia]

日本初のフリマアプリ創業者が再出発に挑むワケ

 2012年に堀井社長が創業したフリルは2016年に楽天に買収され、その後、同社の「ラクマ」と統合された。堀井社長も18年まで楽天に在籍したが、再度起業するため、退職した。

 起業を決断したのは、今やフリマアプリの代表格となったメルカリに先んじてフリマ市場に参入しながらも日本一になれなかった悔しさだけでなく、フリマアプリを取り巻く事業環境が変化していたことも理由だ。

 退社後に自身が手掛けたフリマアプリの現状を見つめ直した結果、「フリマアプリの本質は『モノをお金に変換する』というフィンテックだという結論に至った」という堀井社長。例えば、競合のPayPayフリマはPayPayに、メルカリはメルペイにそれぞれ売上金をチャージする形で、決済手段として普及。日本でキャッシュレス決済が普及している一因になっている。そんな時、堀井社長に「キャッシュレス決済が普及しきった社会はどんなものだろうか」という疑問が浮かんだ。

photo オンライン発表会で事業を説明する堀井社長

 そこで、日本と同じ島国である英国に注目。人口規模やGDPなどが近く、12年のロンドン五輪を契機に、政府主導でクレジットカードやApple Payなどによるキャッシュレス決済が急速に普及していたからだ。渡英し、約1カ月間、現地調査を重ねたところ、英国では、バスや電車などの公共交通機関はもちろん、スーパーや屋台、路上パフォーマーへのチップ、ホームレス支援など慈善事業に至るまで、あらゆるものがキャッシュレス決済できたという。つまり、カードかスマートフォンさえあれば、生活にほぼ困らない社会だったというわけだ。

photo 英国では公共交通機関もキャッシュレス

 現地調査では意外なニーズも判明した。英国ではキャッシュレス化の進展とともに、デジタルネイティブ世代を中心に家計簿アプリのニーズが上がっていたのだ。生活費のキャッシュレス決済に給与直結の口座をひも付けてしまうと、無駄遣いしてしまう恐れもある。そのため、支出項目に応じて予算を立て、計画的に使いたいニーズがあったという。英国では、HSBCなどのメガバンクが提供するアプリのUIがよくないこともあり、新興企業による生活費管理アプリがシェアを伸ばしていた。

photo 英国のキャッシュレス事情

 日本では現金を封筒に入れるなどアナログな方式で支出を管理する層が一定数存在する。しかし「キャッシュレス化が進み、貨幣の流通が減ると、従来のような形で管理するのは難しくなるのではないか」。そう考えた堀井社長は日本で家計簿アプリの事業を立ち上げることを決めた。

photo 日本のキャッシュレス決済の予測

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