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任天堂「はじめてゲームプログラミング」で記者がイチから学んでみた 数学オンチでもゲームは作れるのか(1/2 ページ)

» 2021年07月19日 11時22分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 任天堂が6月11日に発売したNintendo Switch向けプログラミング学習ゲーム「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」(はじめてゲームプログラミング)。発表直後から「任天堂がプログラミング教育に本気を出した」などと話題になり、発売後にはゲーム内で作ったゲームの動画などがSNS上で相次いで投稿された。

 プログラミング教育を巡っては、文部科学省による“小中学生1人にPC1台”などを目標に掲げる取り組み「GIGAスクール構想」が進んでおり、子供でも学びやすい教材のニーズが高まりつつある。任天堂がこの現状を踏まえて今回のソフトを発売したことは想像に難くない。

 一方で、プログラミングへの理解を求められているのは子供だけではない。DX(デジタルトランスフォーメーション)により、ITによる業務の効率化や変革が進む中、これまでプログラミングの知識がなかった層にも、技術の背景や仕組みの理解が求められてきている。

 記者もそんな大人の一人だ。ITやゲームは好きだが、学生時代に数学では良い点を取ったことがない。プログラミング経験もほぼゼロ。そんな記者でもゲームプログラミングができるようになるのか? 仕事の合間を縫いながら、約1カ月間、このゲームと向き合ってみた。

初心者でもナビつきでプログラミングに挑戦できる

 今回記者が購入したのはダウンロード版(2980円)。はじめてゲームプログラミングにはカード型の教材が付属するパッケージ版(3480円)もあるが、ゲーム単品でどれだけ学べるか確認するためにダウンロード版を選んだ。

 ゲームのモードは、説明を受けながらサンプルと同じゲームを作る「ナビつきレッスン」と、搭載された機能を全て使って、自由にゲームを作れる「フリープログラミング」の2種類がある。記者はプログラミングの経験がほぼなく、HTMLコーディングとゲームエンジンの「Unity」に挑戦して挫折した過去がある程度なので、ナビつきレッスンからプレイした。

photo 作るゲームの選択画面

 ナビつきレッスンでは「シューティングゲーム」「アクションゲーム」「鬼ごっこ」といったゲームを、点の形をしたキャラクター「ボブ」のレクチャーを聞きながら作成していく。1つのゲームを作るのにかかる時間はおよそ40〜90分。作業は4〜10程度のステップに分かれており、これまで学んだ内容を覚えているかテストする「チェックポイント」を挟みつつ、全ゲームの完成を目指す。

photo ゲーム作りの工程

コードを書かずにプログラミング、ノードをつないでゲーム作り

 いずれのモードも、ゲーム作りはノード型のキャラクター「ノードン」を組み合わせたり、接続したりして、コードは書かずにプログラミングしていく。

photo ヒトノードンにスティック入力ノードンとボタン入力ノードンを接続した様子

 例えば「画面にヒト型のキャラクターを映し、スティックで左右に動かせるようにしたい」という場合は、まず「ゲーム画面ノードン」を配置。その中に「スティック入力ノードン(左右)」「ヒトノードン」を設置する。そしてスティック入力ノードンの出力ポートを、ヒトノードンの移動をつかさどる入力ポートと接続。こうすることで、スティックで左右に動かせるヒト型キャラクターをゲーム画面に映すことができる。

photo ノードンにはさまざまな種類がある

 ノードンは他にも、任意の数を数える「カウンターノードン」、入力された2つの数値が等しくなったり、上回ったり、下回ったりしたときだけ他のノードンに信号を送れる「くらべるノードン」、ボタン入力を検知できる「ボタン入力ノードン」などが登場。

 複雑になると、常に一定の数値を他のノードンに送り続ける「定数ノードン」、ゲーム機本体の傾きを検知する「モーションノードン」、数値の計算結果を必ずプラスにする「絶対値ノードン」なども出てくる。ナビつきレッスンではこれらの使い方を学び、フリープログラミングで実践する……というのが基本的な流れだ。

いざプレイ!基本的には子供向け?

 実際にプレイすると、いくつかの特徴に気付く。

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