ITmedia NEWS >

夏の停電対策に大切なことデジタル防災を始めよう(2/2 ページ)

» 2021年08月21日 08時00分 公開
[戸津弘貴ITmedia]
前のページへ 1|2       

雷サージ対策機器で電化製品を保護

 雷シーズンになると、落雷でPCや家電が壊れたという悲鳴があちこちから聞こえてくる。雷鳴が聞こえたら電源を切りコンセントを抜くように奨励されているが、外出中だったり、コンセントを抜きにくい機器があったりと理想通りにはいかないのが現実だ。

 落雷で機器が壊れるのは、落雷で生じた瞬間的な過電圧、過電流によるもので、雷サージと呼ばれる。雷サージは、電線の他に電話線、アンテナ線などの導電性物質や大気を経由するものもある。雷サージの影響を受けやすい機器は半導体を使用した電子機器で、PCやルーターなどのIT機器が多いが、マイコン制御の炊飯器など近年は家電も影響を受ける可能性が高い。

 雷サージへの基本的な対策は、避雷器(雷ガード、雷サージプロテクター、サージアレスターなど呼称はさまざま)機能のあるタップや中継器などを使用することだ。

 内蔵されたサージ吸収素子(バリスタ)やバイパス回路によってコンセントや電話線からの誘導雷や大気からの侵入雷による雷サージを吸収したりアースへ逃がしたりする。

 PCやNASにはUPS(無停電電源装置)があった方がよい。ノートPCなら不要の場合もあるが、デスクトップPCでHDD/SSDの保護やデータ消失に備えるのであれば、メインのマシンだけにでもUPSは入れておきたい。

 瞬断まで対応するなら、常にバッテリーから変換した電力を供給する「常時インバーター給電(オンライン)方式」がいいだろう。雷サージにも強く、瞬断がないのでデリケートな機器の保護にも適している。難点は高コストになってしまうことだ。

 それ以外の方式は、停電して内蔵バッテリーに切り替わる際に瞬断が起きてしまう。通常はコンセントの電力がスルーされるので別途サージ対策も必要になり、落雷対策を含めた対応としては不十分だ。

対策はコスパに応じて

 全ての家電が壊れないよう、継続して使えるように対策すると、UPSやポータブル電源、サージプロテクター付タップなど、機器のコストが大きくなる。

 買い直しが難しい家電はタップで対策し、データ喪失などハードの被害だけで済まない重要な機器にはUPSを入れるなど、デバイスに応じた対策が必要だ。

 それでも停電が長時間に及べば間に合わないこともある。例えば冷蔵庫の場合、ドアの開閉を必要最小限に抑えたとしても長時間の停電には対応できない。落雷で故障してしまえばなおさらだ。

 冷蔵庫に関しては、アウトドアで使用する保冷バッグ、クーラーボックスがあれば、その中に氷や冷凍食品を保冷剤代わりに入れ、肉や魚など食材を入れておくことで代替できる。

 ハードタイプのクーラーボックスははかさばるが、保冷力は高い。ソフトタイプ、折りたたみタイプの中にも保冷力がハードタイプ並みに高いものがある。こうしたものはレジャーにも防災にも役立つので、手元にあると安心だ。

 例えばロゴス 「ハイパー氷点下クーラーL」(税込1万890円)は、別売の保冷剤を使用することで、アイスクリームを最大11時間以上保存できるとしている。

photo ロゴス 「ハイパー氷点下クーラーL」

 停電や雷で機器が壊れないようにするのがベストだが、どれだけ対策をしても壊れるときは壊れてしまうのが機械というもの。機器の重要度も含めてコスパを考慮して対策したい。

 万一壊れてしまったとしても、保険があれば大きなコスト負担なく買い直せるので、加入している火災保険の内容や補償金額、補償対象となる被害なども確認しておこう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.