韓国の議会は8月31日(現地時間)、アプリストア運営企業が独自の決済システムのみの使用を強制することを規制する法案「電気通信事業法の一部改正法律案」を承認した。この後、文在寅大統領が署名すれば、法案は法制化される。法制化されればアプリ内課金を法律で禁じるのは世界初。
この法案は、欧州委員会や米国の複数の州も問題視している、米Appleと米Googleによる開発者にアプリ内での課金やアプリ内購入を義務付ける行為を禁止するというものだ。法制化されれば、韓国のアプリ開発者は韓国のアプリストアで、アプリストア外の決済サービスを利用できるようになる。
議案原文(韓国語をGoogle翻訳で日本語化)によると、「アプリマーケット事業者が取引上の地位を不当に利用して、モバイルコンテンツなどの提供事業者にとって特定の支払い方法を使うよう強制する行為を禁止」する。また、「アプリマーケット事業者がモバイルコンテンツなどの審査を不当に遅延する行為を禁止」する。また、アプリ市場での紛争を調整する権限を韓国政府に与える。
韓国の聯合ニュースによると、この法案は「反Google法」とも呼ばれ、2020年8月に議会に提出された。
Appleはこの法案が承認される前に米The Vergeなどのメディアに対し、「この法案はユーザーを詐欺の危険にさらし、プライバシー保護を弱体化させ、購入の管理を困難にし、ペアレンタルコントロールなどの機能の効果を低下させる」という声明文を送った。Googleは法案承認後、「開発者がアプリ開発でコストが掛かるのと同様に、OSとアプリストアの構築と維持にもコストが掛かる。このモデルを維持しつつ、この法律を順守する方法を検討する」という声明文を送った。
Appleは8月26日、米開発者との訴訟の和解に際し、「開発者が、App Store以外での支払いオプションについてアプリユーザーと直接やり取りできるようにする」という条件を提示した。
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