メディカルチェック推進機構(東京都板橋区)とPCR検査などを提供するICheck(東京都千代田区)は10月6日、ワクチン接種を証明するアプリ「ワクパス」の提供を始めると発表した。利用料は無料、アプリは近日中に配信予定としている。ワクチン接種者によるサービス利用を促すことで、賛同企業の従業員を保護しつつ経済活性化を目指す。
政府が提供を予定しているワクチンパスポートアプリとは異なり、企業がインセンティブを与えてワクチン接種者にサービスを利用してもらうよう民間主導で発行するもの。2回のワクチン接種証明書と運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、パスポートなどの顔写真付き身分証明書を登録して利用する。
アプリでは、ワクチン接種証明画面の表示、賛同企業の店舗などで使えるクーポンの取得、抗原検査キットの購入が可能。アレルギーで接種できないユーザーに不利益がないよう、検査による証明など代替措置も用意する。今後は、政府のワクチンパスポートとの協調、3回目のワクチンを接種する「ブースター接種」への対応、陰性証明書の発行、海外渡航で使うグローバルパスポートとの連携なども検討する。
iCheckによると、登録時にアップロードされた個人情報、本人確認書類、接種証明書を基に目視で本人確認するという。本人確認書類は暗号化を施したクラウド上に画像として保管。スマホを機種変更した際の確認や、「CommonPass」などワクチン接種記録アプリとの連携、ブースター接種時の本人確認の他、クーポン提示時にアプリで表示される顔写真データとしても利用する。クラウドサービスはAWSを採用。本人確認書類、接種証明書ともにテキストデータ化はしないという。
ワクチン接種証明画面に加え、店員にアプリのクーポンページを提示することで追加のサービスを受けられる。参加企業は、アパホテルやHIS、かっぱ寿司、鹿島アントラーズ、JT(日本たばこ産業)、サンワサプライ、東京商工会議所など。賛同した企業以外にもクーポンを無料で掲載可能。掲載時には審査を設ける。参加企業は順次拡大予定という。
メディカルチェック推進機構の香山充弘理事長は、「民間企業からワクチンパスポートを望む強い声にできるだけ早く応えるべく、スマホアプリで提供した」と述べる。アプリの構想から提供まで約2カ月で実現したという。政府提供のアプリ以外にも民間でワクパスと同様のサービスが出てくる可能性もあるが、「ニーズに応えたもので、競争するわけではない」(香山氏)と述べた。
参加企業の1社であるアパホテルの元谷芙美子社長は、「人の動きが抑制されたことで、国内外のホテル業界が苦境に立たされている。ワクパスを活用することで、より多くの方に安心安全な宿泊、観光してほしい」と述べる。鹿島アントラーズの小泉文明社長(メルカリ取締役会長)も「観戦者数が満員時の3分の1ほどに減り、例年と比較して約20億円減収。選手へのメンタル面にも影響している」と指摘。ワクパスユーザー向けのイベントやノベルティなどを配布することで「みんなで安心安全性を確保したい」(小泉社長)と語った。
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