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テレワーク時代に追い付いたBose「Quiet Comfort 45」 ダミーヘッドで静寂度を測ってみた小寺信良のIT大作戦(4/6 ページ)

» 2021年10月20日 08時09分 公開
[小寺信良ITmedia]

ノイキャン性能をダミーヘッドで測る

 ノイズキャンセリング性能を何とか単純に数値化しようという動きが以前はあったが、昨今は周波数レンジごとにキャンセリングレベルを表示する方法に変わってきている。一方Boseはキャンセリング性能を数値やグラフで表示しておらず、実際にどれぐらいのキャンセルレベルなのかは試した人しか分からなかった。

 そこで今回は、道路ぎわ、海岸、ショッピングモール内のカフェと条件の違う3カ所で、ダミーヘッドを使ってどれぐらい周囲のノイズがキャンセルできるかをテストしてみた。

 今回選択した「道路ぎわ」は幹線道路の交差点近くで、手前車線は車が加速する辺り、奥の車線は信号待ちから発信する辺りで、もっともうるさい場所である。ここにNC ONにしたQC45を装着すると、ノイズレベルは完全にゼロにはならないが、かなり減少できるのが分かる。

 海岸は、ワーケーションなどでは人気のあるスポットだが、打ち寄せる波はホワイトノイズに近く、風もかなり強い。また頼みもしない大音量の音楽がカフェから流れてくるなど、仕事するには意外にうるさい場所である。ここでは、波の音や音楽は完全シャットアウト、風によるフカレがちょっと気になる程度まで減少できた。

 カフェは今のようにテレワークになる前から「ドヤリング」と言われたように、ノマド族が仕事を持ち込む場所として定番である。ここでは周囲の雑音や人声、空調、反響する音楽などが合わさって、「ドー」という低域のピンクノイズになっている。これもかなりうまくカットできており、多少音楽が漏れ聞こえてくるものの、実際にはこちらも音楽を再生するはずなので、マスキングされてほぼ分からないはずだ。

条件の異なる3カ所でノイズキャンセリングレベルをテスト

 ダミーヘッドは人間の皮膚と違って硬いので、密閉度がやや下がっている。その点を考慮しても、かなり強力にキャンセルできることが分かる。何%とか数字ではなかなか言えないところだが、どんなパターンの場所でも仕事に集中できる程度にはノイズをカットしてくれることは期待できる。

 自分に装着してみると、やはりBoseはフィット感が良い。エンクロージャーは小型ながら絶妙に耳に当たらないし、シンセティックレザーの肌への当たりも柔らかい。また緩やかなクランプ圧で締めつけ感が少なく、長時間の装着でこめかみの辺りが痛くなるということがない。

 音質面では、まさにBoseらしい明るいサウンド。コーデックはSBCとAACのみで、aptX系やLDACには対応しない。

 これはBoseファンにしか共感できないと思うが、Bose特有の重低音を圧縮してぶっ放すみたいな強烈な個性はそのまま。音の分離の良さはさすがにLDAC対応ヘッドフォンには敵わないが、時折無性に食べたくなるとんこつラーメンというか、忘れられない個性のあるのサウンドである。

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