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» 2021年10月29日 20時03分 公開

オリジナルデザインのウイスキーを妻に贈る 結婚の歳月を刻むラベル、どのフォントで表現するかデジタルネイティブのためのフォントとデザイン(1/5 ページ)

10年前に結婚記念として仕込まれた木樽を指輪の代わりに購入した夫婦。彼らのためにウイスキーのラベルをデザインした。

[菊池美範,ITmedia]
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 街角やビジネスの現場など身のまわりにある文字をきっかけに、奥深いフォントとデザインの世界をご案内する連載。今回は、筆者が取り組んだ、あるデザインの話です。


 「イチローズモルト」という人気ブランドのウイスキーを製造しているメーカーがある。埼玉県秩父市にあるベンチャーウイスキーという会社だ。

 秩父市街から少し離れた山麓に2つの蒸溜所を抱え、愛好家のために「本物のウイスキー」を作り続けている。そんな会社のウイスキーを愛してやまない夫婦が、10年前に結婚記念として仕込まれた木樽を指輪の代わりに購入した。筆者はその樽を開栓して、ボトリングするラベルのオリジナルデザインのディレクションを担当させていただく機会に恵まれた。

 このプロジェクトはデザイナーである妻のクライアント、Wさんを通して依頼いただいた。妻はまったくお酒が飲めないのだが、仕事をともにしていたご縁があってのことである。

photo 埼玉県秩父市みどりが丘にあるベンチャーウイスキーの蒸溜所(写真提供:ベンチャーウイスキー)
photo ウイスキーの樽を利用した建物の看板。グッズや記念品などが購入できる

 妻がデザインを起こし、私がディレクションとアドバイスを加えながらデザイン案をやりとりする過程の中で気が付いたのは、ウイスキーボトルのラベルはフォントや描き文字をベースにした重厚なものが多いことだ。

 バーカウンターの奥から取り出すとき、ボトルをお客様に見せながらグラスに注ぐという所作で見えるラベルは、美しいものでなければならない。

 そんなことを意識しながらデザインの方向性をどうするか進めていたのだが、Wさんも私たちも、何度か迷いながらアイデアとデザイン案のキャッチボールを進めていた。

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