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Unity、「ロード・オブ・ザ・リング」などのVFXを手掛けたWeta Digitalを16億ドルで買収 「メタバースの未来を形作る」

» 2021年11月10日 17時53分 公開
[ITmedia]

 ゲームエンジン「Unity」を手掛ける米Unity Softwareは11月9日(現地時間)、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ブラック・ウィドウ」などのVFX(視覚効果)を手掛けた米Weta Digitalのツール群、技術、エンジニアリングの人材を買収することで合意に達したと発表した。買収総額は16億2500万ドルで、取り引きは2021年度第4四半期に完了する見込みだ。

 unity (画像:Unity)

 「この買収は、Weta独自のVFXツール郡を世界中のクリエイターとアーティストに提供し、ツール群をUnityのプラットフォームに統合することで、次世代RT3Dを生み出し、メタバースの未来を形作ることが目的」としている。

 Weta Digitalは、「ロード・オブ・ザ・リング」などで知られる映画監督、サー・ピーター・ジャクソン氏が1993年に共同創業し、会長を務める非上場企業。ジャクソン氏は発表文で「UnityとWeta Digitalは、あらゆる業界のアーティストがWeta Ditigalのツールを活用できるようにするために協力していく」と語った。

 エンジニアはUnityに参加するが、VFXアーティストはジャクソン氏の新企業Weta FXにスピンアウトする。Unityは、Weta FXが「メディアおよびエンターテインメント分野で最大の顧客の1つ」と見ており、両社は今後も協力していく見込みだ。

 UnityはWeta Digitalの組み込みツールなどを獲得する。例えば、機械学習で人間の顔の筋肉の直接操作をサポートし、俳優の顔の動きをキャラクターモデルに転送する「Facial Tech」や、水、火、煙、髪の毛、布、筋肉、植物などの視覚効果の物理ベースのシミュレーションを提供する「Loki」、植物の成長をシミュレーションし、森林を育てたり森林に積雪を追加したりする手続き型成長およびシミュレーションシステムの「Tohara」など、ジャクソン監督の映画でおなじみの効果に使われていたものだ。

 tohara Toharaの画面(画像:Unity)

 また、都市や自然環境、動植物、人間、人工物などのアセットライブラリも獲得する。

 Unityは買収を発表する公式ブログで獲得する技術を「メタバースのためのテクノロジー」と称し、「現在は、ゲーム、映画、その先のものでの豊かで双方向性のある3Dコンテンツ制作のニーズが始まったばかりだ」「誰でもそうしたコンテンツを簡単に作れるようにする必要があると信じており、この買収はそのための第一歩だ」と語った。

 同社は獲得したツールをクラウドで提供し、「アーティストがMayaやHoudini、Unityなど、どこからでもクラウドに直接プラグインできるようにする」という。


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