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年末調整で負荷急増、人事SaaSの悩みとどう戦う? “11月月初の憂鬱”に挑む企業のクラウドインフラ(2/2 ページ)

» 2021年11月11日 07時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]
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サーバ台数減、運用コストも4分の3に ただしクラウド特有の問題も

 局所的な負荷の増大やサーバ機器の保守期限切れという2つの背景から始まったラクラスによるフルクラウド化。プロジェクトは2020年3月に、日本オラクル、SIerのシステムエグゼ(東京都中央区)と共同でスタート。20年11月まで、大きく3段階に分けて移行作業を行った。

 まずは20年3月から7月にかけて、TokiwagiのサービスやデータベースをOCIとExaCSに移行。その後、10月までにMominokiなど他のサービスをOCIに移行した。最後は各種ファイルサーバなど、その他のシステムを11月までにクラウド化した。

 ラクラスはこれまで、物理サーバと他社クラウド上の仮想サーバを合計で86台抱えていたが、フルクラウド化により70台まで削減。運用に必要なコストも4分の3程度まで減らせたという。一方でサーバの処理性能は向上したため、これまで懸念材料だった遅延がなくなったとしている。

 ただしクラウド化によって、障害発生時の状況把握を巡る課題も浮き彫りになった。

 「突然サーバに再起動がかかったことがあった。調べてみると原因はOCI上で行われた緊急メンテナンスで、幸いサービスへの影響は少なかったが、そのとき日本オラクルから受け取った情報がややシンプルで、影響範囲や再発の有無などは(個別に)聞かないと入ってこなかった。障害が起こるのは仕方ないが、できるだけフォローしてほしいと考えている」

「また月初か……」の憂鬱から社員を解放

 提供基盤やデータベースをフルクラウド化し、負荷が集中する時期にも安定してサービスを提供できるようになったラクラス。一連の取り組みの効果について、北原会長はこう振り返る。

photo Oracle Cloud Days 2021に登壇した北原佳郎会長

 「ピーク時の対応は当社の業績に非常に大きく影響する。障害対応や顧客への説明の負荷もなくなり、社員も『また月初か……』という憂鬱から解放された」

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